イマイチ? AMG E63S 4MATIC+ 「スマートさよりも狂気が欲しかった」
公開 : 2017.05.08 19:00 更新 : 2017.05.23 16:21
■どんな感じ?
「発進」ではなく「発射」
ツインスクロールターボを採用し、604psを誇るE63SのV8エンジンユニットから発せられるのは至極暴力的な雄叫びだ。
日産GT-Rのような2シーター・スポーツもメじゃないこのクルマ、0-100km/h加速は3.4秒だ。「スーパースポーツ」と呼ばれるクルマたちと競わせても遜色ないスペックである。
「レース・スタート」機能を使うと、最適な回転数でエンジンが制御され、プレーキ・ペダルから足を離した瞬間に、前後のタイヤには最適なトルク配分でパワーが伝達される。これは「発進」ではなく「発射」と表現するほうがいいだろう。
ただギアが繋がるまでの、ほんの一瞬のブランク(気づくかわからないほど)が気になった。
シフトチェンジの際のターボラグはなく、継ぎ目の感じられない過給はターボチャージャー自体がシフトチェンジの際のロスをリカバーしているからだ。
日常遣いにおいても、E63Sのエンジンは「良い子」であろうと努める。低回転でもラグは感じられず、9速のギアを巧みに使うことでレスポンスも申し分ない。
E63の新しい心臓はどこへ持ち込んでも楽しい。
ただ、それを受けとめているシャシーについても同じことが言えるか? と言う問いに対しては、わたしは「イエス」とは言えない。
グリップや安定感はあるものの、それは直感的なものとは違い、意識的に制御されたことが感じ取れる乗り心地。運転する喜びとは少しかけ離れている。