ロータス・ヨーロッパではない「47」 正真正銘のレーシング・モデル

公開 : 2017.05.13 00:00  更新 : 2017.05.29 19:24

メカニカル・パーツはレーシングカーそのもの

47は、コンペティション・モデルの需要を意識して、タイプ番号をロードカーの46よりも上にしたが、開発自体はともに進められ、発表も同時に行われた(47を先に制作という意見もある)。47は自社工場ではなく、ロータス・コンポーネンツが組み立てを担当。太いリア・タイヤ、大きなアーチ、バンパーのないフロント、発表後に追加されたエンジン・ベイの冷却用ベントが特徴になっている。

実用的なキャビン。


また、ロード・モデルと同様に、FRPボディをバックボーン・シャシーに接着剤で固定している。シャシー自体は、エランと同じくボックス断面のプレス鋼板製だが、リア・ホイールとタイヤの位置を考えて長さを切り詰めた。

シャシーに取付けられるメカニカル・パーツはレーシングカーそのもので、多くをロータス 22/23や69から流用。すなわち、1594ccのコスワース・フォード13Cツインカム・エンジン(167ps)、ヒューランド製FT200 5速トランスアクスルに加え、ボトム・ウィッシュボーン・トップリンク式/デュアル・ラディアス・アームというF2仕様のリア・サスペンションを採用した。

ドライサンプ用のオイルタンクはフロントに設置。

貴重な「Fスペック」モデル

取材車両はわずかに公道向けに造られた貴重なFスペックで、記録によれば6台あるいは7台しか製作されていない。配色がロータスの資料とは異なるものの、1971年から始まる確かなヒストリーがあり、極めてオリジナルな個体だ。この47は80年代初期から保管され、現オーナーが「箱に入った部品の山」として入手。

そして、あらゆる履歴を再現する決意とともに「工場出荷時の状態を正確に」復元したのだ。以来、公道走行とトラックをたまに走るだけに留めている。なによりも素晴らしいのは、まるで新車時代から分解もリビルドもしなかったと思えるほど状態が良いことだ。

「実際に新車のように走りますよ」と、オーナーが耳打ちする。では、試してみよう。

47はレーシングカーの血統と風格を感じさせる。ロータスの成功の勲章であるバッジが誇らしい。

弾丸のように飛び出す

エンジンを始動すれば騒々しいノイズがクルマ全体を揺さぶる。あまりに耳のそばにエンジンがあるので鼓膜を痛める不安に襲われる。シフト・レバーに描かれたドッグレッグ・パターンに従ってギアを入れ、クラッチをミートし、幅広のリア・タイヤ(6.00/12.00-13S)にパワーを伝達する。タイヤが簡単にスピンしたかと思うと、尻を振る気配さえなく、弾丸のように飛び出した。

このクルマは、もともとインジェクション仕様だったものを、大半の47と同様に、扱いやすいウェーバー製のキャブに交換している。

サーキット向けのハイ・ギアリングなうえ、インジェクション仕様の発進は5,000rpmまで回す必要があったことを考えると、2基の45キャブによってユーザビリティが高まったようだ。前オーナーによれば、この47にテカレミット=ジャクソンのインジェクションと、極めてギア比の高いFT200トランスミッションがついていた頃に、最高速度171マイル(275km/h)を記録したという。その時は瞬間的に10,000rpmまで回転が上がったのでエンジン・ブローを心配したそうだ。

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