三種三様、996/997/991型の911GT3を乗り比べ 先進技術は「過保護」になった?
公開 : 2017.05.20 00:10 更新 : 2017.05.29 19:03
997GT3は1,300万円、991GT3は2,5000万円以上
もしあなたが997のGT3を買うのであれば、前期型で£7万(1,310万円)程度をみていたほうがいいだろう。後期に手を出すならば£10万(1,850万円)が必要になる。
ちなみに991GT3に関して公式ウェブサイトを見ると、£10万540(1,870万円)という価格が書かれているが、もうこのモデルに関しては生産が終了している。生産ラインはGT3 RSのためにカチリと切り替わったのだ。
われわれが探したなかで、もっとも安く買うことのできる右ハンドルの991GT3は13万7千ポンド(2,534万円)である。きれいな996GT3の約2倍ということになる。まずはじめに運転したのは991のGT3。現代のベンチマークがいかなるものかを知るためだ。
ウッと息をのむ。単純な速さではない。パワー・デリバリーのマナー、サウンド、柔和なトルク供給、機関銃のごときシフト、9000rpmのレヴ・リミット……。簡単な話、極めて特別なクルマなのだ。
後ろにエンジンを搭載して、後ろから駆動する。宿命的なまでのハンデを背負っているにもかかわらず、もう、これまでの911とは全く違う次元に達している。熱狂、そしてエラーに対する寛容さ。
先祖にとっては、情け容赦なき進化とでもいえようか。かつての911のようなアンダーステアも皆無。ぶわりとノーズが浮かびあがることもない。
気がつけばノーズがエイペックスに向かい、そして気がつけばもうコーナーを抜けだしている。スピードとスタビリティ。唖然とするほど簡単にコーナリングが終わるのだ。
しかし「これほど簡単に運転できていいのだろうか?」と疑問に思う向きも少なくないはず。なぜならポルシェ自身だって自問自答しているのだから。だからこそ、かのGT3 RSは単なる「いい子ちゃん」に終わらせなかった。
現時点では正式なアナウンスはされていないが、ドライビング・プレジャーを追い求めたマニュアルのGT3だって噂されているくらいである。