最強セダン一番勝負:前編 ― AMG E63 vs アウディRS7 vs レクサスGS F vs BMW M6グランクーペ
公開 : 2017.05.27 11:00 更新 : 2017.05.29 19:34
どの分野に、どのクルマを充てようか
先代E63はわれわれ好みの、アウトバーンを暴れ回るような類のセダンだった。今回もエンジンはV8ツイン・ターボだが、ダウンサイジングはさらに進み、また全車4WDとなった。先代にも4MATICは設定されていたが、英国に投入されるのは今回が初めてだ。
そして、われわれのテスト方法も初めての試みだ。いつもの4台で競って順位付けをするグループテストではなく、E63とそれぞれのライバルが、ジャンルを限定して対決する方式を導入してみたのである。
レクサスGS Fは、多くの点でAMGと比較しやすいが、このクルマ最大の美点は自然吸気であること、そしてそれが、4000rpmを超えたところで発する見事なサウンドだろう。E63のターボユニットと、この5.0ℓV8 NAによる「のど自慢」が最初の競技だ。
次に、4WDを得たE63の加速力が、スーパーカー並みのダッシュを見せるアウディRS7スポーツバックに伍するものなのか、いうなれば短距離走で勝負する。
最後はBMW M6グランクーペ・コンペティションパックとの比較テストだ。このMモデルは、金属スプリングに油圧パワーステアリング、後輪駆動で、今年2月のグループテストではポルシェ・パナメーラ・ターボをギリギリまで追い詰めたハンドリング純粋主義者である。
その点、E63 Sの仕立ては純粋主義とは言い難い。4WDであるばかりでなく、サスペンションは調整可能なエア・スプリングを装着する。
ただし、ドリフトできる後輪駆動モードを備えていることは見逃せない。600psオーバーで、0-100km/h加速は3.4秒、なによりドライバーズカー造りにかけては滅多にしくじることのないアファルターバッハ産の最新モデルである。なかなか興味深い対決となるに違いない。