最強セダン一番勝負:前編 ― AMG E63 vs アウディRS7 vs レクサスGS F vs BMW M6グランクーペ
公開 : 2017.05.27 11:00 更新 : 2017.05.29 19:34
レクサスの音は、幻だったのか
すると、キャビンで聞くほどレクサスのサウンドは印象的ではない。しわがれ気味だが、AMGの低音が利いた唸りに比べれば、ややハイピッチで線が細い。
結局、GS Fの運転中に味わっていたのは、人工音を添加してスピーカーから発せられる合成音だったのだ。
E63 Sならば排気中の燃え残った燃料が熱せられた金属によって着火し、破裂音を響かせるが、GS Fはクランクシャフトが唸りを上げ、それからアイドリングに戻れば穏やかな音を立てるばかりだ。
レクサスの方がより洗練された音に聞こえるだろうか? そうは思わないだろう。
よそよそしく、自分の存在を周囲に示したくない時にはより気恥ずかしい思いをせずに済む。しかしドライバーの耳には、ほとんどの場合、それがより静かなクルマだとは思えないのだ。
騒音計は、GS Fで87.2dB、E63 Sで88.9dBを示した。わずかな差だが、AMGはより音響的な存在感で勝っている。バン!パチパチ……ポン!
その爆発音に、騒音計の針は跳ね上がり、100dBを超える。発砲音と同等だ。勝者はどちらか。AMGに軍配を上げたい。