プジョー3008「GT Lineデビューエディション」試乗記 FFのSUVは成立するか
公開 : 2017.05.28 11:10 更新 : 2017.05.29 19:00
■どんな感じ?
個性的なのは外観だけではない
今回試乗車として用意されたのは、新型3008の日本導入を記念して、180台の限定で販売される「GT Lineデビューエディション」
デビューエディションは「アリュール」ベースでも同じく180台が用意されたが、すでにそのいずれもがソールドアウト。これも市場での新型への大きな期待が表れた結果といえる。
参考までに限定車としての特別装備は、本来はオプションとなるパノラミック・サンルーフや、ハンズフリー電動テールゲートなど。プライスは、試乗車のGT Lineデビューエディションでは、ジャスト400万円という設定だ。
そのエクステリア・デザインに、ニューモデルとしての斬新さが強く表現されている新型3008。その個性は同クラスのSUVの中でもとりわけ強く、それはライバルの中から3008をファースト・チョイスとする、直接の理由ともなるだろう。
キャビン・デザインも同様にスタイリッシュで、かつエレガントに仕上げられている。i-Cockpitの視認性や機能性も素晴らしい。
最初にそのコンセプトがプジョーから提案された時には、正直なところやや違和感を覚えたデザインだったが、その不満は新型3008においては完全に解消されたといえる。
だがその一方で、コックピットからの視界が、特に後方でやや小さく感じられたのは残念だった。これも美しいエクステリア・デザインの代償といえばそれまでだが、何よりもSUVには機能性を要求するのだというアクティブ派カスタマーには、不満は大きいかもしれない。
まずは、今回の試乗会のために特設されたオフロード・コースへとノーズを向ける。
FWDを侮ることなかれ
ここでは、アドバンスドグリップコントロールで「マッド」モードを選択することが推奨されていたが、なるほどそのトラクション性能は、さらにタフなシチュエーションになれば、さすがに4WDモデルにはかなわないものの、FWDであることのハンデを一切感じさせないものだった。
ちなみにこのマッド・モードでは、ぬかるみで前輪がグリップを失ったようなシチュエーションでは、その駆動輪たる前輪を意図的に空転させ、泥を振り払うことでグリップを回復する制御も行われる。
オンロードでの走りは、さらに多くの魅力に満ち溢れていた。175mmという最低地上高からも想像できるように、ドライバーの着座位置はSUVらしく、実際にはかなり高い位置にあるが、コーナリングは驚くほどにスポーティだ。
とりわけシフト・レバー後方にレイアウトされるスイッチで、スポーツ・モードを選択した時の動きは魅力的で、それは前後のサスペンションが優れた接地感を演出していること、そして常に正確なインフォメーションをドライバーに伝えるとともに、まさに意図したとおりのノーズの動きを生み出してくれるステアリングに大きな理由がある。
コンチネンタル製のM+Sタイヤも、この3008のキャラクターにはマッチしている。乗り心地には十分な節度があり、またコーナリング時にはその剛性感にも大いに満足できる。