「はっきりと言えることがある、勝者は……」

それに対して、コンペティション・パッケージつきのM6は、しなやかでバランスの取れたコントロールを存分に実感できる。

スムーズな路面でAMGと同じ速さを発揮するだけでなく、英国の典型的な悪路でも、その気になれば自信を持ってスピードを出せるのだ。

E63 Sほどのグリップはなく、ターンインは荒っぽいが、よりスローなギア比のステアリングはたいていの道で、より精確な操縦を可能にしてくれる。

最もワイルドに走らせたときのM6のバランスは、AMGほど優しくはないが、そのハンドリングは、マージンを削った分だけ、夢中になれる時間が増えている。

そう、最終種目の勝者はアイアンマンのようなE63 Sではない。しかも、最後まで余裕を失わないセッティングは、これより熟成された、パワフルで魅力的なEクラスを堪能してきたAMG信者を困惑させるかもしれない。

少なくとも先代モデルであれば、ドリフト・モードと同じことを、スイッチひとつで実現できた。

重ねて言うが、これはいつものグループ・テストとは異なる。1台の新型車の実力を探るべく行った、1対1のテストを集合体だから、おなじみのランキングは決められない。

ただし、はっきりと言えることがある。どれか1台を選ぶとしたら、それはE63 S以外のどれかだ。

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