BMW M4 CS、★4.5を獲得 だがAMG C63やアルファ・ジュリアの存在大
公開 : 2017.05.31 19:40 更新 : 2017.05.31 19:44
AMG C63Sやアルファ・ジュリアを引き合いに
これまでのM4の各バージョンと同じく、このCSもコンフォート/スポーツ/スポーツ+の3モードが選択できる。これはアダプティブ・ダンパーやパワーステアリング、エンジン特性に影響する。
7速M-DCTの変速モードも3段階設定で、ダイナミック・スタビリティ・コントロールはありがたいことにDSCオフが可能だ。
ステアリング越しに伝わる路面のフィールや、センターから45°ほど切った際の初期レスポンスの鋭さは、どのモードを選んでも、わずかながら確実に、これまでより改善されている。
おそらく、ステアリングのフィードバックやボディコントロールの向上は、前後の径が1インチ違う新型ホイールと、リアが太いカップ・タイヤの恩恵がある。
これに、制御を見直したダンパーやパワーステアリング、アクティブ・デフも利いている。スプリングやダンパー、スタビライザーのハード面は、コンペティションと同じだ。
しかし両車を比較すると、CSの方がターンインは素速く、ハードなコーナリング時にもボディの挙動が安定している。上下動がうまくコントロールされ、凹凸を越える際にも浮き上がりが抑えられているのだ。それでいて乗り心地の粗さやしなやかさの不足、バンプステアの兆候は見られない。
ハンドリング・バランスはベース車と同様の傾向。中回転域の増強されたトルクはステアリングを切らずに、スロットルでコーナーの脱出アングルを加減しやすくなっており、グレードアップしたタイヤはグリップとトラクション、スタビリティを高めるのにひと役買っている。
コーナーへはより高い速度でフラットに進入でき、脱出の速さと安定性もコンペティションでさえ到達できないレベルだ。タイヤやホイール、ダンパー制御のプログラミングだけでここまで変わるとは、にわかには信じがたい。
メルセデス-AMGのC63Sやアルファ・ロメオのジュリア・クアドリフォリオの方が、ハンドリングのアジャスト性は高いと思う。それでも、公道上でさえ針の穴を通すような精確さは、CSの方が一枚上手だろう。
また、CSとコンペティションとで3.0ℓ直6のトルクカーブを比較するのも興味深い。CSの方が、中回転域ではるかに力強く感じられるのだ。
これはおそらくM4のもっとも注意を払うべきポイントだ。標準車はライバルたちよりやや物足りなさを感じ、5000rpmを過ぎないとそれを忘れることはできない。
その点、CSではひ弱さが払拭されている。3000〜5000rpmでのトルクは太く、その回転域での追い越し加速は衝撃的で、コーナーの脱出時やドリフトにも十分なほどだ。