14億円? ロールス「スウェプテイル」に見る、ロールスが販売台数を追わぬ理由
公開 : 2017.06.03 16:10
「正直言って、個人的にこのクルマは趣味に合わない」
奇抜という言葉以外を用いて形容するのであれば、「法外」「仰々しい」「壮大」「堂々」「荘厳」。要は、並外れてすごいクルマなのだ。
ロールス・ロイスのデザイン・ディレクターであるガイルス・テイラーは、このスウェプテイルを「自動車界のオートクチュール」と表する。
これをオーダーした「ロールス・ロイス通の重要な顧客」は、クルマそのものの出来栄えはもちろん、そこに自己主張を込めることにも大いにこだわったわけだ。
正直言って、個人的にこのクルマは趣味に合わない。
たしかに華やかで、造り込みも精緻だ。ディテールにも驚くほど凝っているし、オーナーのお気に入りだという1970年物のドン・ペリニヨン専用の「収納装置」などという、浮世離れした仕掛けにも驚かされる。
しかし、早い話、自分がどうこう言えるレベルを数段飛び越えている。これは、われわれ、いや少なくとも筆者のような庶民の理解の範疇にあるクルマではない。
超リッチなひとびとの超ゼイタクな生活においてもその贅を極めた、高級ヨットやプライベートジェット、最高級レストランといった世界に属する物件だ。
もはやこれは、単なるワンオフの自動車ではなく、そこに技術やデザイン、ファッション、そして芸術の域までをも取り込んだものとなっている。それは、ロールス・ロイスの将来的な方向性の示唆でもある。