なぜPSAはオペルとヴォグゾールを手に入れたのか GM離脱による未来は?
公開 : 2017.06.11 11:10 更新 : 2021.03.05 21:43
プジョー、シトロエン、そしてDS。3つのブランドをすでに持つPSAは、どうしてGMの欧州部門に目を付けたのでしょうか。
なぜ、自動車メーカーが自動車メーカーを買う?
コスト削減と収益拡大。PSAがオペルとヴォグゾールを買収した理由を、端的に述べればそういうことになる。
これは一大ニュースだ。昨年の欧州市場で、オペル/ヴォグゾールは約100万台、PSAは約150万台を販売した。この両社が合併することで、ルノー日産を凌ぎ、およそ360万台を売ったフォルクスワーゲングループに次ぐ、欧州第2位のグループが誕生する。
今回の買収劇はまた、莫大なスケールメリットが発生することも意味する。
5つのブランドが生産するモデルは、セグメント的に重複する領域が広い。プラットフォームとエンジンは統合が進み、機種が大幅に減らされるだろう。
最終的にPSAは、オペル/ヴォグゾールのモデルを、全て自社プラットフォームをベースとしたものに置き換えるといわれているのだ。
またPSAは、それらを生産するために、欧州GMのファクトリーの所有権を手に入れている。
エミッション改善や自動運転導入が強いられる現在、自動車メーカーはこれまでにないほど、将来に向けた多額の投資を行う必要性に迫られている。
多くのブランドで負担を「割り勘」し、同時にリターンを増大させることは、財政的リスクの軽減を図るうえでの最善策だ。
なお、興味深いことにGMは欧州部門のうち、イタリアにあるR&D部門だけは保持することとした。