フェラーリGTC4ルッソ、V12に試乗 欠点あれど大きく響かず 価格も納得
公開 : 2017.06.14 11:40
しなやかで緻密
もちろん、走りに関する話もじきにするが、個人的にまず興味があったのは、マラネロの最もラグジュアリーなモデルとして、震えるほど美しい1963年のモデルから名前を譲り受けるにふさわしいモデルなのかという点だった。
結論から申しあげると、十分すぎるほどに上出来だった。高速道路を流すようなペースでは、690psを絞り出す6.3ℓV12はほとんどサウンドをキャビンに届けることがないのも気にはならない。
ロードノイズや風切り音もみごとに遮断されている。ウインドウは二重ガラスを用いているのだ。
最高速度は344km/hと、実にラ フェラーリより5km/hほど低いだけだ。そのスピードに堪えうるサスペンションと低扁平タイヤを履いているにもかかわらず、乗り心地は硬すぎない。
しなやかかつ緻密で、ダンパーはみごとな仕事ぶりを見せてくれる。812スーパーファストよりも、名が体を表していると思えるクルマだ。
エンジンにも感心する。実によくできていると思うのは、つま先の動きひとつで、そのキャラクターを冷静と情熱の間で思うままに切り替えられることである。
もっとスポーティな、たとえばF12あたりならば、巡航時であっても、常になんらかのエンジン音を聞いていたいと思うだろう。GTC4ルッソは、普段は静かで、しかし望めば、その潜在能力を発揮してくれるタイプだ。
音質に関しては、これを超える市販車にはまず出逢えない。アストンのV12はおそらくもっとエキサイティングで、メルセデスのV8ツインターボはもっと力強さを感じさせるいっぽうで、GTC4ルッソのサウンドは、幾重にも折り重なり、それでいて鋭く、澄んだ硬質な歌声は、GTOやデイトナにも通じるのだ。