祝! ポルシェ911生産100万台 歴代911/100万台記念モデルで旅へ
公開 : 2017.06.17 00:45 更新 : 2017.06.17 14:50
最高の911の「定義」
残すは996GT3なのだが、これがもう、なんといっていいのか……。今回のクルマたちは全てポルシェが保管し、自社ファクトリーで管理しているものなので、コンディションは新車同然だ。
それだけに、飛ぶような走りをみせるのはもちろんだが、そんじょそこらの最新スポーツカーでは敵わないほど、シャシーはしっかり調整されている。
ベストな911というのはえてしてそうだが、できるだけ速く走りたくなるもので、無鉄砲さを懲らしめられるのではなく、降り注ぐほどの見返りが得られるものだ。
今回は、素晴らしい個体を味わえる絶好の機会だが、時間はあまりない。ポルシェが早くクルマを戻してほしいのはわかるが、呼び出しの着信音はしばらく無視した。
991のカレラSなら、われわれの長期テスト車にさんざん乗って熟知している。今回の主役はそれとたいして違わないクルマなのだから、エディンバラまでちょっと乗って、さもしっかり走らせたように原稿を書いても、誰もわかりやしないだろう。
これは歴史的な意味を持つ1台だが、特別なのはウッドのトリムや特別なメーター、千鳥格子のシートや記念プレートなどで飾られる室内程度だ。
メカニズム的には実にシンプルである。マニュアル車で、ブレーキは鋳鉄ディスク、追加装備はほとんどない素に近いスペックだ。
と、思い返すうちに気付いたのだ。逆にここまでシンプルな仕様に試乗できるチャンスは滅多にないことに。となれば、乗らずにはいられないではないか。