スポーツカー・ワールドカップ 決勝 マクラーレン(イングランド)vs ポルシェ(ドイツ)
公開 : 2017.06.25 11:50 更新 : 2017.06.25 11:52
スポーツカーに必要な「華」はある?
911は格別で、とりわけこのGTSの最軽量スペックはそれがより引き立っている。
ステアリングは極めてシャープで、ダンピングも非の打ち所がない。自信をもってクイックにドライビングできる速いクルマが欲しいのであれば、これ以上の選択肢はないかもしれない。
対して、まるでスーパーヒーローになったような気分を味わいたいなら、必要なのはマクラーレンだ。ハンドリングは、別格というほどではないが上々で、これはこれで素晴らしい。
ポルシェは油圧アシストのステアリングを捨て、マクラーレンは電動アシストを導入するこの世で最後のメーカーになるであろうことを堂々と宣言している。アンジュレーションのきつい道で540Cをドライブすると、その理由がよくわかるはずだ。
ポルシェにエレガンスを求めることが間違い?
マクラーレンは、ステアリングフィールも、リムから伝わる路面の感触も、911から乗り換えると、まるで分厚い手袋を脱いだかのようにクリアに感じられるのである。
911のそれは、意のままに操れるのは確かだが、コミュニケーションのレベルは540Cと比べると明らかに低い。また、剛性がずば抜けて高いカーボンのシャシーは、精巧なチューニングが施されたサスペンションの能力を完璧に引き出してくれる。
また、スポーツカーの分野であっても重要な要素がもうひとつある。スペシャル感とでもいうものだ。ポルシェにはないそれが、マクラーレンには確かにある。
ロー&ワイドなスタンス、スタイリング、一部が顔を覗かせているカーボンモノコック、低く寝そべるようなドライビングポジション、エレガントでありながら未来的なデザインのインテリア、などなど。
全てが高級感と満足度、911とは比べ物にならないほどの忘れられない思い出になる可能性などにつながっているのだ。
そう、われわれはこの第2世代の991系を、911の歴史における傑作のひとつだと考えている。しかし、その特別さという点ではマクラーレンに水を空けられている。
絶望的に大きな差ではないものの、センターロックのホイールやアルカンターラのトリム、GTSのバッジを足した程度では埋まらない。
もっと大きな差は、別の部分に見出せる。