アウディRS5 モデルチェンジした2017年型に海外試乗 V8→V6の吉凶を占う
公開 : 2017.06.28 12:40
■どんな感じ?
RSでも「やりすぎない」
インゴルシュタットのスポーツモデルを扱うアウディ・スポーツ部門の商品として、またRSモデルとして、ルックスは順当にまとめられた。
15mm拡幅したブリスターフェンダーやボディ各部に穿たれたダクト、極太の楕円形テールパイプなどを備えるが、相対的にはアウディのデザインの方向性を崩すことのない、いつも通りの穏当なモディファイだ。
全長も74mm延長されているが、もとより2765mmものホイールベースを持つだけに、プロポーションはベースのA5と大きく変わるものではない。
インテリアもまた、おなじみの光景が広がる。
作りがよく、見た目も手触りも申し分ない。英国仕様には、アウディご自慢のデジタル計器盤であるバーチャルコックピットも標準装備だ。
ピレネー山中のアンドラ公国で試乗したこの個体には、ステアリングホイールやシフトレバー、ドアトリムにアルカンターラが張り込まれ、S5とはひと味違う雰囲気を醸し出していた。
迫力はあるが、押し付けがましくない
アウディ・スポーツはエンジン音のチューニングを徹底したようで、B5世代のRS4に積まれたV6ターボを思わせる骨太なサウンドが轟く。
しかし、低音を聞かせたそれは、シリンダーバンクの間に配置されたターボの風音を覆い隠すことはできていない。かつてのV8のバイブレーションや、自然吸気らしい無駄な干渉物のないメロディが恋しくなるのは正直なところ。
とはいえ、それは予期できた。パフォーマンスについても同様で、クランクシャフトの回転は低脂肪乳のようにサラサラとしたフィール。
先代のV8がレッドゾーンめがけて荒々しく回転を上げたのに対し、このV6は中回転域のさらに中盤で力を発揮するタイプだ。
その高まりは強力だが、淡々としたシームレスなものでもある。ティプトロニックはリズミカルでシュアなシフトアップにより、S5で見せた活気のなさを払拭している。
エンジンの性格が全く異なることで、クルマも全く違う性格となった。