ロールスやベントレー、「死」の先にある希望 超高級車の墓場を訪ねる
公開 : 2017.07.01 17:40
「見たことのある」個体を発見
われわれが訪れた際には5台ほどあったが、そのうちで目にとまったのが、2003年式の最初期型コンチネンタルGT。われわれとしては馴染み深い個体である。
というのも、これはもともと広報車両だった1台で、AUTOCARの表紙に登場したことのあるまさにそのもの。しかも、極めて良いコンディションを保っているように見えた。
フライングスペアーズのマーケティング担当であるピーター・ジョンソンは語る。「これは解体するにはもったいない、程度のいいクルマです。どう扱おうか検討しているところですが、おそらくベンの足グルマになるでしょうね」
ベンとは、妻のルーシーとともにフライングスペアーズを設立したベン・ハンドフォードそのひとである。
それ以前の彼らは、プレハブのオフィスと、ショップ代わりのトレーラーで、1回あたり1台のクルマを扱うだけの解体業を営んでいた。
今やそのビジネスは年商£1000万規模となり、1日あたり150を超える数のロールスとベントレーの中古部品を発送している。そして、取引先の70%ほどが国外だという。
それだけの数のパーツを廃車から取り外して販売するのは大変そうだが、実はそうではないのだとハンドフォードは言う。
「ここを見て回ったら、きっとウチはスクラップ置き場だと思われるでしょうね。でも、クルマの分解は、業務全体のおそらく1割にも満たないと思いますよ」
では彼らの本来のビジネスとは何なのだろうか?