マスタング最強の「GT350R」試乗 軽量化と新エンジンでサーキット特化型に
公開 : 2017.07.02 06:10
フォードは、マスタングをサーキット向けマシンへ変身させようと試みました。その手法は、軽量化と新エンジン搭載。はたして、その成果やいかに。
■どんなクルマ?
もはやレーシングカー
無駄を省いた妥協なきサーキットスペシャルを造ろうと思ったとき、そのベース車として現行マスタングが筆頭に上がることはないだろう、正直な話。
理由のひとつは、その巨体と呼んでも差し支えないボディサイズだ。たとえばGT3仕様が成功を収めているポルシェ911と比較すると、全長はおよそ30cm、全幅も10cmほど上回る。しかも、V8搭載の現行マスタングGTは素のMT仕様でも1700kg近い。
もっとも、そうした大きなクルマを扱い慣れているフォード・パフォーマンスとしては、寸法は大きな問題ではなかったようだ。
それでも重量だけは無視できるものではなく、GT350Rにはリアシートやオーディオ、ナビやエアコンが装備されない(ただし、後席以外の3つはオプションリストに掲載されているが)。
また、ホイールにはカーボン素材を用い、1本当たり6kg軽量化。5.0GTから60kgの削減は目覚ましいというほどではないが、効果は確実にあろう。
シャシーはコンポーネンツのアップグレードはもちろん、サーキット走行重視のセッティングも施される。また、各部に追加されたエアロパーツにより、ベース車よりはるかに強力なダウンフォースを得ている。
しかし、最大の注目ポイントはボンネットの下に収められた5.2ℓV8だ。アメリカンマッスルカーの典型的なパワープラントとは異なり、欧州スポーツカーの領域に踏み込むような、フラットプレーンクランクを持つ高回転型ユニットである。
その最高回転数は8000rpm以上で、6500rpm以下に留まる既存のクロスプレーンV8をはるかに上回る。
最高出力533ps/7500rpm、最大トルク59.3kg-m/4750rpmというスペックは、低速トルクの豊かさを売りにゆったりと回るアメリカンV8の常識とは趣を異にするものだ。
サウンドもまたマスタングらしい低い轟きではなく、高らかに響く唸りと咆哮を聞かせる。