マスタング最強の「GT350R」試乗 軽量化と新エンジンでサーキット特化型に
公開 : 2017.07.02 06:10
極めてシャープでダイレクト
かなりアグレッシブにセッティングされたサスペンションは、通常のマスタングにあるフワフワと揺れるような動きを完全に排除し、アジリティとコントロール性、精確さをもたらしている。
スラクストンには、通り一遍のクルマでは歯が立たないセクションが随所に存在する。まず、ピットアウトするといきなり緩やかな左コーナー、それを抜けると、ハードブレーキを要求されるタイトなコーナーが立て続けに迫る。
たいがいのクルマならここですっかり面食らうのだが、GT350Rは難なくそれを吞み込んでいく。
ステアリングは極めてシャープでダイレクト、ブレンボの巨大なブレーキは秀逸で、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2は強力無比のグリップとトラクションを生む。
圧倒的に速度が乗るチャーチ・コーナーをはじめとする高速セクションでは、驚くほどのスタビリティを発揮するが、これには空力パッケージの貢献が大きい。ロールもブレーキング時のダイブもわずかで、ボディの大きさや重量を忘れるほどだ。
8000rpmのレッドラインめがけて回るエンジンは、斬新な体験を味わわせてくれる。活気に満ちたこのV8はまさに走りのキモで、このシェルビー・マスタングを力強く突進させる。
レスポンスは、マスタングGTのそれよりはるかに優れている。エンジン回転を呼び覚ますのに、GTであればスロットルペダルを強く踏み込まなければならないところだが、GT350Rなら軽くひと押しするだけで回転計の針が跳ね上がり、シフトダウン時のブリッピングも決まる。