アルピナB5ツーリング新型に試乗 M5/D5のなかで存在力は? ★★★★☆
公開 : 2017.07.04 11:40 更新 : 2017.07.06 00:18
アルピナよ、ここまで手を入れるのか
ベースはもちろん新型5シリーズだが、エンジンは750iに搭載されるのと同じ4.4ℓV8ツインターボ。450ps/66.2kg-mを発生するこのユニットに、より大きなサイズのツインスクロールターボを組み合わせ、ブースト圧を1.4barまで高めている。
ZFのトランスミッションはギアを強化し、冷却系を追加。さらに、シフトを速め、大容量のトルコンを装備している。アルピナによれば、変速時間は0.1秒で、これは世界最速級と言っていいだろう。
それ以上に注目すべきはサスペンションだ。シャシー開発チーフのアンドレアス・ヴォルマーによれば、彼ら開発チームはサーキット走行ではなく、一般ユーザーの使い方を想定したテストに日々を費やし、脚回りの全面的な見直しを図ったという。
そう聞くと、スプリングやダンパー、スタビライザーなどコンポーネンツの換装を思い浮かべるだろうが、変更はそれだけでなく、ジオメトリーなどのセッティングにも及ぶ。
特にフロントは、ネガティブキャンバーの角度も変えるために、ウィッシュボーンもベースモデルとは異なるものを採用している。
さらには、BMWの4WSシステムに専用チューンを施し、電子制御ステアリングのプログラムも書き換え。ステアリングホイールは、Mモデルのようなしっとりとしたやわらかい手触りを嫌い、専用品を装着した。
FR廃止は「顧客の声」
アルピナが手掛けた5シリーズとしては、7代目にして初めて4WDを採用するが、ボーフェンジーペンは他の選択がなかったわけではないと説明する。
「これまでのB5は後輪駆動で問題なく、個人的にはそれが好みでした。しかし、トルクが81.4kg-mにも達すると、わたしは後輪駆動でよくても、お客様からは四輪駆動化を希望されるんですよ」
そこで、4WDを採用しつつ、システムに手を加えて後輪へのトルク配分を最大90%まで高めており、しかもその状態にあることが多くなるようプログラムされている。
この駆動系ハードウェアは後輪駆動のそれより70kg重いが、車両重量はFRだった先代B5を30kg下回る。タイヤは長年使い続けたミシュランではなく、今回はピレリとの共同開発を行った。