アルピナB5ツーリング新型に試乗 M5/D5のなかで存在力は? ★★★★☆
公開 : 2017.07.04 11:40 更新 : 2017.07.06 00:18
■どんな感じ?
静かなる狂気
皮肉なことに、公道を重視して開発されたこのクルマ、試乗会場はクローズドコースだった。アルピナは3つの仕様のB5を発売するが、まだどれも認証を得ていないため公道を走行できない。そのため、ドイツの中央辺りにあるビルスター・ベルクのテストコースで試乗会が開催された。
ここは走る機会が多いのだが、1コーナーでクルマを降りたくならなかったのは驚きだった。
ここは楽しくも過酷だ。アンジュレーションが激しい高速コースで、軽量で強力なダウンフォースを発揮するサーキット志向のマシン、たとえばポルシェ911GT3RSなどにはぴったりな設定となっている。しかし、スプリングの柔らかい、しかも2150kgもあるワゴンにはまったくもって不向きなはずだ。
エンジンサウンドは最高だ。ボーフェンジーペンCEOは、アルピナでは初めて人工音を添加する装置を装備したことを、きまり悪そうに打ち明けたが、不自然は皆無だった。
また、新たな変速の味付けにも完璧にマッチしている。かなり速く感じられ、その点で期待を裏切ることはおそらくない。
それでいて、メルセデス-AMGのE63ステーションワゴンほど不安な思いをすることはない。あちらは同程度のパワーとより太いトルクを備え、車両重量が軽いという違いはあるが。
予想をすっかり裏切るのは、コーナーでの身のこなしだ。これほど厳しいコースを速いペースで攻め続ければ、当然ながらタイヤは痛め付けられ、高速コーナーではアンダーステアが発生し、路面の凹凸を超えればボディが揺すられる。
ところが、適切なスピードでターンインし、ブレーキを残しつつノーズをアペックスに向け、そこからパワーオンするという基本を守れば、素晴らしくニュートラルで、アジャストしやすいクルマへと変貌するのだ。
そして、ブレーキがまた秀逸。かなりの周回を重ねても、ブレーキに悩まされることはただの一度もなかった。
乗り心地や洗練度については、テストコースでの試乗ということもあり、十分に確かめることはできなかった。
走行モードの項目に、BMWにもあるスポーツプラスのほか、アルピナ独自のコンフォートプラスが追加されていたが、ビルスター・ベルクでの周回に限れば、切り替えても違いはわずかだったからだ。
これに関しては、いずれ公道試乗で明らかにしたいが、むしろ上々の結果でなければ驚くことになるだろう。