800ps超えは当たり前に? 激化するパワー競争 裏で芽生える「危惧」
公開 : 2017.07.08 06:10
激化する「パワー競争」。わたしたちは、数字をどう捉え、どう向き合えばよいのでしょう。増えゆくパワーのほかに、あらたな指標が求められています。
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
次々と変わる「新基準」
先週は刺激的な1週間だった。なにしろ、320psのホットハッチと、800psのスーパーGTに試乗したのだから。
どちらも、何年か前なら考えられない数値だ。前人未踏ともいえる領域に達するクルマが出てきたわけだが、この信じがたいレベルが、あらたな基準になろうとしている。
いくらパワーがあっても十分ではない
ホンダ・シビック・タイプRとフェラーリ812スーパーファストは、それぞれのジャンルでパフォーマンスのベンチマークとなるだろうが、いずれそれも、より速くパワフルで目を見張るようなクルマの登場で塗り替えられるはずだ。
派手な側面に目が行きがちだが、個人的にはエンジニアたちが馬力に関して語ったことの方が気になる。
最も印象的だったのは、フェラーリのチーフテストドライバーでるラファエル・デ・シモーネの言葉だ。彼は「コントロールさえできれば、いくらあっても、これで十分ということはないですね」と口にした。
今後もパワー競争は過熱するだろう。そして電子制御技術も並行して発展し、さらなるスピードがより扱いやすいかたちで手に入るようになるはずだ。