オークションの読み方 英国の底力「ボナムス・グッドウッド・セール」

最終更新日:2017.07.08

ポイント3 注目のフェラーリF40は落札ならず

このオークションのハイライトのひとつがF40だった。かつてピンク・フロイドのギタリストであるデヴィッド・ギルモアが所有し、さらにはバーミンガムショーでピニンファリーナスタンドに飾られていたというヒストリーを持つだけに、高めに設定されたと思われる最低落札額(未発表)に達せず流れてしまった。ここではフェラーリが11台並んだが、落札されたのはディーノ、デイトナ、エンジンの降りた365GT4 2+2、550マラネッロの僅か4台だけと低調だった。

ポルシェは356プリAから997GT2 RSまでの20台が用意された。356は完売となったが911の普通のモデルや後年コンペティションに改造された車両は残ってしまった。ポルシェに限らずGFOSセール出品車の全般的な傾向としては、本当に価値のあるものは高値を付け、数のあるモデルで割高感を感じさせるものが流れるという、最近の傾向はここでも見られた。

ポイント4 歴史の厚さを感じさせる出品車

クルマ趣味に関して1世紀以上の歴史を持つイギリスだけに、出品車のヴァラエティは天下一品といえる。1908年オチキス 16/20HP タイプT ロイデ・ベルジェから2011年フェラーリ599GTOまでの、各世代にアピールするありとあらゆるクルマが集められた。


ここで話題となったのが、アルファ・ロメオ6C2500Sプロジェクトだ。プロジェクトとは言うものの、写真でお判りのように完全にバラバラのパーツとシャシーという、ほとんど残骸という状態ながら254万円で落札されるのはさすがといえる。このほか1931年ベントレー8ℓ セダンカ・ドヴィルは、久々の億超えとなる1億1,465万円を記録し、1957年アストン マーティンDB2/4 Mk-II デザイン・プロジェクト193 は、DB Mk-IIIのデザインプロトタイプという貴重な個体だけに4962万円まで値を上げた。

ポイント5 傍役達も見逃せない

ここにきてイゾ・グリフォ5.8ℓ シリーズIIもじわじわと評価を集めつつあるようで3068万円まで値を上げている。最近値を下げていたジャガーEタイプ・シリーズ1 ロードスターだが、ここでは942台のみという右ハンドルでレストア後未走行という点が評価され3809万円を記録した。1979年MGミジェット1500ロードスターが423万円と高値で落札されているが、これは最終限定車であることに加え、走行35マイル/56kmという新車状態が評価されたもの。

ポイント6 コンペティションカーもあります

レーシングマシンのガーデンパーティとも称されるGFOSだけに、コンペティションカーも姿を見せた。中でも存在感を放っていたのがマクラーレンM1Bだ。マクラーレンにとってカンナムにおける栄光の起点となったモデルだが、ヒストリー的に弱かったため最低落札額に届かず流れている。

コンペティションモディファイされた車両も姿を見せたが、どれも後年になって製作されたものでヒストリーを持たないだけに、お値頃のオースチンA30ラリーカー、モーリス・マイナー1000ラリーカーと、人気のポルシェ356A 1.7ℓラリーカーが落札されただけだった。
 

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