オークションの読み方 フランスの粋「アールキュリアル 2017モナコセール」

最終更新日:2017.07.09

フランスのエスプリが感じられるオークションがアールキュリアルです。今回は「モナコ」で開かれたセールの内容から、フランス人の “ひと味違った” 好みを読み解きましょう。

3ページで分かる「アールキュリアル 2017モナコセール」の “読み方”

●2017.07.02 アールキュリアル 2017モナコ・セール
フランスのオークションハウスであるアールキュリアルは、英米と違った内容でファンを楽しませている。今年はル・マン・クラシックが休みの年のため、モナコで拘りのオークションを開いた。

text: Kazuhide Ueno(上野和秀)

 

モナコに相応しいラインナップがポイント

フランスのオークションハウスであるアールキュリアルは、マニアックなクルマを用意することで知られている。それだけにフランスで開かれるレトロモービルやル・マン・クラシックのオフィシャルオークションを任されていることからも、品揃えの確かさが分かろうというもの。このほかパリのシャンゼリゼにある本社近くでも年数回オークションが開かれ、ヨーロッパのエンスージァストにとっておなじみの存在になっている。

今年は隔年で開かれるル・マン・クラシックが休みのため、その代わりとしてモナコを舞台にオークションが行われた。今回のモナコセールには’50年代から最新モデルまで、各世代に向けた120台が用意された。最近のオークションとしては珍しく’80〜90年代の、いわゆる「ヤングタイマー」が多く、全体の1/3を占めたのが特徴といえる。

落札率は低調

新旧の魅力的なモデルが用意されたモナコセールだが、昨今のオークションに違わず入札は進まなかった。結果を数字で説明する落札率は「50.8%」とほぼ半分だった。ここで1億円越えは1台だけで、全般に価格とバリューがシビアに判断されていた。高くても価値があれば値を上げ、一方で安くても存在価値が低ければ流れてしまうという傾向が顕著となっていた。

ちなみに大物で1億円越えの車両はポルシェ・カレラRSR3.0以外は総崩れだった。その名を記すと、

2009年ブガッティ・ヴェイロン・グランスポール(予想落札額1億8060〜2億0640万円)
1962年フェラーリ250GTカブリオレ・シリーズII(予想落札額1億8060〜2億0640万円)
1961年マセラティ3500GTスパイダー(予想落札額1億0320〜1億1610万円)
1965年マセラティ・ミストラル3.7スパイダー(予想落札額9417〜1億0707万円)
1987年ポルシェ959コンフォート(予想落札額1億2255〜1億3545万円)

となる。これらの顔ぶれを見ると、流通数が多く選べるものや、最低落札額が高かったものが残る傾向にあることが見えてくる。

ポルシェ・カレラRSR3.0は2億円越えに

オークション前から注目を集めていたのが1974年ポルシェ・カレラRSR3.0だ。作られてからすぐにアメリカのレースで活躍してきた個体で、デイトナ24時間に7回、セブリング12時間に8回参戦したというレーシングヒストリーを持つ。レース引退後はカレラRSRコレクターに引き取られ、徹底したレストレーションが施されて保管されてきた。希少で完璧なコンディションにあることから、最終的に予想落札額を上回る2億2824万円まで値を上げ、モナコセールの最高落札額を記録した。

落札額上位には意外なモデルも

ここでのベスト5は、1974年ポルシェ911カレラRSR3.0/2億2824万円を筆頭に、2015年フェラーリ458スペチアーレA/6962万円、2005年サリーンS7 R/5570万円、1967年フェラーリ330GT 2+2/4951万円、2005年フォードGT/4487万円と、いつもとは違った様相となった。フェラーリ458スペチアーレAは限定車故に日本でも高値で取引されており、サリーンは滅多に出ないことから値を上げたものと思われる。またフェラーリ330GT 2+2はレストア済でクラシケとASIの認定を受けていることに加え、キャラクターにあったダークブルー・メタリックのボディカラーが人気を集めたようで、最近の相場を大きく超える額で終えている。
 

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