マツダCX-5とワイナリーをめぐ……らなかった旅@八ヶ岳
公開 : 2017.07.20 17:40 更新 : 2017.07.20 18:00
CX-5、優秀なスポーツカーかもしれない
大弛峠までの上ぼり道幅狭めのワインディングで、CX-5は軽快な身のこなしを見せた。ロールは小さくないが予想が充分可能なので不安はない。
高名なG-ベクタリングコントロール(GVC)もおそらく効いているのだろうが、エンジニア氏は「GVCは感知できない繊細なレベルで効いてます」と言っていたっけ。
一方2.2ℓのディーゼルは低めの回転を保ったまま、次々とコーナーのエイペックスを刺し、こちらも痛快だ。飛ばせば飛ばすほど車体が小さく感じられるのは優秀なスポーツカーの証だが、CX-5にもこれと似たDNAが確かに宿っていた。
峠の冷涼な空気を吸い込んだ後、ついに今回のハイライトであるダート道に入った。
最初の部分は、俄かオフローダーを寄せ付けないようにわざと(?)整備されていない感じで、何度か「やっぱUターン?」の文字が頭を過った。
けれどCX-5はソフトボール以上に大きな岩があっても、少しもフロアを擦ることなく、こちらを勇気づけてくれる。
視界の良さも路面を把握するのに有効だ。神村カメラマンは「この道ケータイの電波入らないよ!」と心配していたが、われわれには「いざとなればUターンできる選択肢」があるので問題はない。
かつてAクラスで3時間ほどかけてボロボロになりながら通過した悪路を、CX-5は1時間ほどでやり過ごしてみせた。
CX-5には輸入4駆にありがちなヒルディセントコントロールのようなこ洒落たギミックは付いていない。だが結局のところクルマが「意のままになる」という確証さえ得られていれば、滑りやすい砂利道だって鼻歌交じりに走破できるのだということを痛感させられた。
こんな悪路にツルシのクルマで分け入る変わり者は多くないだろうが、クロスオーバーSUVの発する安心感の源泉が、高い走破性能に由来していることは疑う余地がない。
レタスの産地として有名な川上村を抜ければ、八ヶ岳はすぐそこだ。われわれはワインで乾杯する代わりに、野辺山の名物である飲むヨーグルトで乾いた喉を潤したのである。