WRX STIがモデルチェンジ スバルS4との違い、走りの印象は? 試乗記
公開 : 2017.07.21 19:10
WRX STI、大幅改良の大きなセリングポイント
スバルWRX STIの大幅改良モデルの大きなセリングポイントはハンドリング性能の向上という。実際にそのとおりだと思う。
新型は従来のような機械式締結方式をいっさいやめて、完全に電子制御となっている。開発担当者によると「コーナーの曲がりはじめの回頭性を向上させるとともに、(クルマが外側にふくらむ傾向をみせる)アンダーステアを軽減するのが目的」ということだ。
曲がりの性能は従来型もけっして悪くなかったが、新型を体験すると、あらためてクルマの進化というものに感心する。レールに乗ったような、というコーナリング性能を評価する文言があるけれど、まさにそんなかんじだ。
AWD(フルタイム4WD)の完璧性をめざすために、ていねいにネガをつぶし、より多くのユーザーが満足することを狙ったといえるだろう。それは確実に奏功している。
サスペンションシステムに手をいれて、たとえばスタビライザーはリアの接地性向上を目指したというのも大いに貢献しているだろう。
小さなコーナーも大きなコーナーも、まるでスポーツをするみたいに曲がっていける。こんな感覚のスポーツセダンが300万円台で手に入るというのは驚きですらある。
回頭性の高さとスラロームをやったときの通過速度は、今回のセンターデフ変更と足まわりの改良における重要なパラメターだったようだ。おもしろいのは、スポーツ走行にとっていいことが、より広い層のドライバーにとってもいいことといえる点だ。
ステアリングホイールとドライバーとが一体になったような、軽快な動きでコーナーを曲がっていける。この自然な感覚は性能向上したブレーキとも共通したものがある。操縦感覚がよりナチュラルになっているのだ。
走らせていておもしろかったのは、トルクの太さゆえに意外なほどずぼらな運転も出来てしまうことだ。なにしろ43.0kg-mもあるだけに、あまりひんぱんにシフトダウンしなくても、けっこう力強い走りが出来る。これは都会で乗るのときにありがたいかもしれない。
日常生活の使い勝手もじつはちゃんと手抜かりなく改善されている。