ロードスター再考(1) 初代マツダMX-5 いかにして世界を変えた?
公開 : 2017.07.26 19:10
モットーは「人馬一体」
そうして先に挙げたスポーツカーたちの素晴らしさを、安い価格と維持費で実現しながらも、非常に卓越したドライブフィールを得ることに照準が定まった。
平井氏が掲げたモットーは「人馬一体」。手に取るように挙動を把握でき、安全で、コントロールしやすいクルマづくりという目標が氏のチームにも浸透していった。
実際に見てみるとロータス・エランから多くのヒントを得たことが伺えるが、それよりもさらに高いレベルで独創的な設計がされたと言える。
またロードスターのアイデンティティとも言えるラウンドしたボディラインは、エッジを立たせた初代MR2やベルトーネX1/9との識別点になった。
親しみやすいフロントフェイスに落ち着いたディテール、こぢんまりとしたボディサイズが絶大なる支持を得るのにそう時間はかからなかった。
内装の多くは黒に統一されているが、その全てがシンプルで把握しやすい。簡素なダイヤルはあるべきところにきちんとあるし、幌の開閉も驚くほど簡単だ。
各々のパーツに弱々しさはないし、低いドライビングポジションや感触のいいギアボックスは運転する者の心を確かに高揚させてくれる。