有力な小型車9台を比較 日本からも日産/スズキが勝負(中編)
公開 : 2017.07.30 11:40
最新は最良か?
その日はウイークデーで、スウィンドンからウォンテージまでのうねったB級道路にはフィエスタが数多く行き交っていた。
英国のベストセラーであるフォードのコンパクトカー、その先代モデルだけで5台と行き違った。新型のオーナーであれば、旧型と見比べる機会として不足のないところだろう。
先代フィエスタは、まさにランドマークだ。新たな歩行者保護規定が導入された時期にデザインされたことは、小型車のデザイナーに多くの試練を与えたが、彼らは、ぶざまで無駄に大きく醜いクルマになりがちなところを、お得意のウェッジ・シェイプで切り抜けた。視覚的な質量を後方に寄せ、フロントのコーナーを丸めることで、止まっていてもエキサイティングに見えるスタイリングに仕上げたのである。
2008年に登場したこのクルマは、先代チーフデザイナーであるマーティン・スミスの、フォードにおける最大のヒット作となった。初代フォーカス以来の偉業といってもいい。
その点、新型のデザインはランドマークとはいえない。これは、2代目モンデオや4代目エスコートがそうだったように、ひと目見てフォード車だとわかるものだ。
新しさは充分に主張しながらも、見慣れた要素も少なくない。フォードは、プラットフォームが先代と同じものであることを否定していない。
ボディサイズは、先代よりやや長く、広く、低くなり、ホイールベースと荷室容量の変化もささやかなものだ。ただし、デザインの変化はもっと明確だ。
よりソフトで、彫りが浅くなり、さらに丸みを帯びた。この曲線的なデザインが、必ずしもフィエスタの最適解であるとは思えないが。
これを新型セアト・イビーザの隣に停めると、その懸念はますます膨らむばかりだ。