ルノー・ゾエe-sport、「EVホットハッチ」の未来を示唆 試乗記
公開 : 2017.07.30 20:10
強烈、無音の刺激
独立して設置されているモーターは、つま先に直結しているかのような、瞬時の反応を示す。極小の動きでも、全くの遅れが無く、パワーがデリバリーされる。機械的振動などいつか忘れてしまい、ハイパー・リアクティビティの虜になっていることであろう。
普通の速度では、剃刀のような切れ味をみせ、アクセルを踏み込み80km/h、100km/h、120km/hと速度を上げていくと、20インチホイールに組み込まれた、公道用のミシュラン・パイロット・スーパー・スポーツが前触れもなしにブレイクし、トラクションを得る前に空転しながら前に進み始めるのである。この癖になりそうな、切れ目の無い加速は、最高位のスーパーカーで体験できるそれと同じものだ。
アクセルを踏む右足には細心の注意を有する。さもなければ、グラベルのトラップで立ち往生してしまう失態を演じてしまうであろう。
少しの舵角がついていても、不用意にパワーをかけてしまうと、フロントタイヤは悲鳴を上げ、アンダーステアを誘発する。このクルマのパワーは、グリップを遥かに超えていることに気がついたので、ステアリングとアクセルの操作をていねいに行うことを心掛けると、e-sportはわたしの手足のように動き出した。
このクルマを繰る事が楽しくないわけがない。
しかし、ゾエ e-sportが持つ本質的な問題からは逃れることができなかった。