ロードテスト(1) ポルシェ918スパイダー ★★★★★★★★★★

公開 : 2017.08.11 10:10

【ロードテスト復活記念(1)】1台のクルマを徹底的にテストし、数値データをあつめる「ロードテスト」が、このたび復活いたします。記念すべき1台目はポルシェ918スパイダー。じっくりと時間をかけて、楽しんでいただけますと幸いです。

    もくじ

    意匠と技術 ★★★★★★★★★★
    インテリア ★★★★★★★★★★
    動力性能  ★★★★★★★★★★
    乗り心地と操縦安定性 ★★★★★★★★★☆
    詳細スペックで学ぶ 918スパイダー
    AUTOCARの結論 ★★★★★★★★★★

    意匠と技術 ★★★★★★★★★★

    918のスタイリングを目の前にすれば、議論するまでもなくそのデザインの意図は明確にわかる。

    カーボンファイバー製FRPボディは独創性を欠いた機能性の追求ではなく、過去半世紀にわたるすべての重要なポルシェ製レーシングカーへのオマージュに満ちている。

    917、935、906、そしてRSスパイダーを思い起こさせるモチーフがあちこちに認められるのだ。

    このようなクルマを性能的な要件だけで評価するのは、適切ではないだろう。だからといって野心に欠ける製品というわけでもない。

    実測1740kgの車重はマクラーレンP1よりも200kg近く重いかもしれないが、リチウムイオンバッテリーのサイズは同じ6.8kWhながら2倍だ。さらに電気モーターはより大きな推進力でエンジンを補助し、総トルクは50%も大きい。

    918のアンダーボディは応力担体のモノコックタブと、そこに取り付けてエンジンを載せるサブフレームで構成されている。いずれもカーボンFRP製だ。

    ボディパネルとドアも素材は同じくCFRPで、バンパーはフレキシブルなポリウレタン製である。必要な箇所は重量がかさむ分、ほかはできるだけ軽量に造られているというわけだ。

    サスペンションとエンジンは2005年に製作されたレースカーのRSスパイダーから受け継いだ。

    リアミドに搭載されるのは、鋳鉄/アルミ/チタン混成の4.6lV8である9000rpm以上も回り、608psを発揮するが、重量はわずか135kgに収まっている。

    前後サスペンションはアルミ鍛造のウィッシュボーンとリンクからなり、PASMアダプティブダンパーを標準装備する。タイプ997の911GT3に採用した電子制御の機械式リアステアシステムも備えている。

    一方、駆動システムの電動部分については、前後のアクスルが各1基の永久励磁電気モーターを備えており、合計で最大282ps/59.6kg-mである。

    リアのモーター兼ジェネレーターは、内燃エンジンとともにPDKトランスミッションを介して後輪を駆動する。

    それに対してフロントのモーターは単段で、許容回転を使い果たすよう意図的にローギアードに設定され、265km/hに到達したところで切り離される仕組みである。

    パワートレイン全体では、クランクシャフトレベルでのピークトルクは130.5kg-mに達し、8500rpmで最高出力886psを発生する。最高速度は345km/hだ。それでいて、CO2排出量は70g/kmにすぎない。

    要するに2015年型のホンダF1エンジンよりもパワーが大きく、なおかつホンダ・インサイトよりCO2排出量が少ない。それが918というクルマだ。

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