ロードテスト(1) ポルシェ918スパイダー ★★★★★★★★★★
公開 : 2017.08.11 10:10 更新 : 2017.08.11 11:03
動力性能 ★★★★★★★★★★
ドライサーキット
マクラーレンP1
参考タイム:1分6秒8
驚愕の事実は2点ある。ひとつは918がP1よりもかなり速いことだ。そしてもうひとつは、918がすべてのテストを1セットのタイヤだけで完遂してしまったことである。
918は高速域で向きを変えるとき、とても生き生きとしている。
ESPシステムはよく躾けられている。完全な解除も可能だ。
ウエットサーキット
ポルシェ918スパイダー
ラップタイム:1分21秒2
マクラーレンP1
参考タイム:1分20秒5
重量の大きさと、リアに装着したミシュラン・パイロットスポーツカップ2の325mm幅のため、918はウェット路面で少し苦しんだ。トラクションと横方向のグリップの両方が弱い。
T8の脱出ではスロットルを慎重に絞った。さもないと、あっという間にリアが流れる。
T5を回るときにリアホイールの荷重を抜くと、素早いカウンターステア操作が求められる。
発進加速
テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:10.2秒(到達速度:233.2km/h)
0-1000m発進加速:18.2秒(到達速度:290.3km/h)
制動距離
97-0km/h制動時間:2.30秒
パフォーマンスこそ918最大の存在理由だ。そしてそれは、どの領域においても期待を裏切らない。
ギアを固定したままでの加速性能は比類ない。驚くべきはその速さだけでなく、獰猛なまでに瞬間的な電動モーターのトルクが生むフレキシビリティだ。
32-64km/hと48-80km/hの中間加速は、いずれもわずか1.0秒にすぎない。P1ならばそれぞれ1.3秒と1.1秒を必要とする場面である。
32km/h刻みの加速タイムを見比べると、P1のほうが0.2秒ほど速い速度帯がいくつかある。これはP1のほうがローギアードであることと、918のほうが重いことによるものだ。
たとえば4速での177-209km/h加速は、P1は1.9秒だが918は2.2秒である。ただしP1は222km/hでレブリミッターが作動してしまうが、918はそのまま300km/hをはるかに超えていく。
シフトアップを伴っての加速では、2台はさらに僅差となる。0-402m加速が10.2秒、0-1000mが10.8秒で同タイムなのだ。ちなみにブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツはそれぞれ0.1/0.2秒しのぐ。
0-97km/h加速では2.6秒で918がヴェイロンに並ぶが、これはP1にはない4WDによるトラクションの恩恵だ。
馬力荷重比では918は543ps/トンとなり、P1の615ps/トンやヴェイロンの653ps/トンに比べると見劣りする。だが、それは相手が悪いだけの話であって、絶対的にはハイエンドパフォーマンスカー集団に混じっても堂々としていい数字だ。
出力特性も素晴らしい。RSスパイダーのエンジンを多少手直ししたそれはレスポンスに優れ、サウンドも申し分ない。ターボ過給エンジンを積むライバルはうらやむところだろう。電動モーターは好ましい旋律を奏でるとともに、単体でも6.6秒の0-97km/h加速を可能にする。