ロードテスト(1) ポルシェ918スパイダー ★★★★★★★★★★
公開 : 2017.08.11 10:10 更新 : 2017.08.11 11:03
乗り心地と操縦安定性 ★★★★★★★★★☆
メカニズムはポルシェの他車種と大きく異なるが、走り出せばまさしくポルシェのフィールだ。乗り心地もステアリングも、そして大半の状況ではハンドリングも、間違いなくヴァイザッハ産とわかる類いのものである。
乗り心地は、サイドウォールの高いタイヤを履くケイマンよりもスパルタンな911 GT3に近いが、それにより、重量がかさんで確実な踏ん張りを必要とする918のボディコントロールが引き締められていることを考慮すれば、価格に見合ったものといえる。アダプティブダンパーは、ひどく荒れた路面からの衝撃にも音を上げない。
ステアリングは手応えが比較的重めなポルシェに共通する特性で、直進位の置付近ではドイツ車的なスタビリティとソリッドさを保つ。そこからステアリングを切っていけば、自然に重みが増していく。
P1のデリケートなステアリングに比べるとオイリーな感触は少なく、リミットに近い舵角まで手応えはリアルで、全速度域においてロードフィールにあふれる。
ただし、P1のほうが機敏でナチュラルだ。それを基準にすると、やや不満が残る。
だが、タイトなボディコントロールと反応に優れたステアリングのおかげで、918は分別ある速度の範疇でも楽しめるロードカーに仕上がっている。エンジンは常に魅力的だし、変速は素早い。
また、フェラーリでいうところのマネッティーノのような電子デバイスを備えており、エンジンとギアボックスのセッティングを目的に合わせて変更できる。
しかし、常にマニュアルモードに軍配が上がるのはどういうわけだろうか。疑問を禁じ得ない。
一方、サーキットでは、918は驚異的なマシンとなる。一日中走らせても疲れを知らない911 GT3と同じタフさを発揮し、しかも多くのレーシングカーを超えるペースで走るのだ。驚異的なトラクションとグリップ、そしてスロットル操作による方向転換の容易さを備える。
ブレーキもセンセーショナルだ。ドライでは、113km/hからわずか37.8mで停止する。これはP1の制動距離よりも3.1m短い。