パフォーマンスクーペ決定戦:日産GT-R vs アウディRS5(後編)
公開 : 2017.08.06 11:40 更新 : 2017.08.06 14:30
高性能車と傑作の違い
というのも、公道上ではまず法定速度があり、周囲の交通の影響も受け、はたまた歩行者や、場合によっては動物までもが飛び出してくる可能性も想定される。
そのため、アウディが日産よりうんざりするほど遅く感じられることもあまりない。もっとも、走りのスリルに関しては、比ぶべくもないところだが。
RS5もまた印象的で、もしかしたらうれしい驚きを感じるかもしれない。しかし、降りてすぐにまた乗り込み、燃料が尽きるまで走りつづけたくなるか? と問われると、すこし迷ってしまう。
それこそ、非常に速く高性能なだけのクルマと、真の傑作との違いである。
RS5でベストを引き出すには、さまざまなパラメーターを正確に調整する必要がある。中でも、重要なのがステアリングだ。
ダイナミックモードを選択したなら、実にひどいものになる。驚くほど重く、一貫性とは程遠く、フロントアクスルとつながっている感触がまるで感じられなくなるのだ。
いっぽう、コンフォートモードでは、シャープかつダイレクトで、重さも適度になる。
ドライブトレインとスポーツディファレンシャルはダイナミック、しかしサスペンションはコンフォートが選択すべきモードだ。
シャシーのハードなモードは耐え難いほど硬いわけではないが、コンフォートモードのほうが多少、クルマの前後左右への動きが楽しめる。
コーナーでのロールがわずかながら増し、サスペンションの上下動に伴うボディのうねりはよりはっきりと読めるようになり、車体にかかるさまざまな力が感じられる。これよりハードなモードでは、それが鈍ってしまう。