ロードテスト(2) メルセデス-AMG GT R ★★★★★★★★★☆
公開 : 2017.08.12 11:10
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ノーマルのGTと、GT Rの差は数多く、定番のモディファイだけでなく驚くべき内容のものも見られる。また、エンジンやトランスミッション、シャシーやサスペンションには、サーキット志向に狙いを絞った改修が施された。
まず注目すべきは、GT Sより15kg削減された車輛重量だが、これはよりワイドなボディと、はるかに剛性が高められたシャシーを得たうえでの数字だ。しかも、オプションのAMGカーボンセラミックブレーキを装着すれば、さらに17kgダウンすることが可能となる。
また、これまでの市販AMGモデルには見られなかったテクノロジーの数々も導入。グリップやハンドリングのダイナミズム、パフォーマンスの向上に寄与している。
フェンダーは、カーボン製のフロントが46mm、アルミ製のリアが57mm、それぞれ拡幅され、トレッドやタイヤサイズの大幅な拡大を実現。
ルーフパネルやボンネット、床下の各部にもカーボン部材が用いられ、軽量化のみならずボディ補強にも貢献する。トルクチューブ式プロペラシャフトもカーボン製だ。
サスペンションは、アジャスト可能なスプリングとアダプティブダンパーを装備。
リアはスタビライザーの径が拡大されたほか、ピロボールジョイントを採用し、ハンドリングの正確さとコントロールのフィードバックを高めた。ウィッシュボーンやハブキャリア、ステアリングナックルなどはアルミ鍛造として、バネ下重量の軽減を図った。
4.0ℓV8ツインターボは、コンプレッサーとウェイストゲート、排気ポートを変更。さらに圧縮比を引き下げ、ECUを最適化することで、585psと71.4kg-mを発生する。
エンジンから伸びる軽く高剛性なカーボン製プロペラシャフトは、リアにマウントされたトランスアクスル式トランスミッションにつながる。
GT Sよりギア比の高い1速と低い7速を持つギアボックスと、低められたファイナルドライブを経て、後輪が駆動される。
床下のエンジン前方には、アクティブエアロ・システムの中核を担う、カーボン製の可動ウイングを設置。レースモードで80km/h以上になると40mm下降し、ヴェンチュリ効果を生み出すことで、フロントのリフトを250km/h時に40kg減少する。低速時には自動格納され、縁石などによるダメージを防ぐ。
アクティブ後輪操舵の採用も、メルセデス-AMG初の試み。ポルシェやBMWが採用するシステムと同じく、低速時には前輪と逆位相、高速時には同位相に、最大1.5°の操舵を行う。