ロードテスト(2) メルセデス-AMG GT R ★★★★★★★★★☆
公開 : 2017.08.12 11:10
動力性能 ★★★★★★★★★★
GT Rのスポーツカーとしてのパフォーマンスを、第一線に置く要素は多い。
もしスターターを押したときのエグゾーストノートがなかったとしても、1マイル強のストレート2本とバンクの付いたふたつのコーナーで構成されるテストコースを1周すれば、それは確信できる。
このストレート1本の長さでは、全てのクルマは3速まで入り、そこからブレーキングすると距離はほとんど残らない。
これがGT Rだと、2速を使い切って3速、さらに回り切って4速へ入り、これも回し切って185km/hに達したところでブレーキングしても、2度ほどスタンディングスタートが切れるのではないかというほど十分な余地が残る。
ほとんどのクルマは、ストレートエンドまでに高いギアでレブリミッターへ当てることはできないが、このGT Rなら50km/h以下で5速に入れ、230km/hオーバーの限界値へ到達することができる。
その速さの秘密は何か?それはピークパワーが6250rpmで発生され、そこから上へもV8ツインターボは回る一方、トルクは71.4kg-m と、911GT3が6000rpmでマークする最大値より24.5kg-mも太い上に、それが1900rpmで発生することだ。
これほど低回転で極太のトルクを出すには、ブースト圧もかなり高める必要があるが、ターボラグはほとんど感じられない。低い回転域で、左右シリンダー間に配置されたターボが回り出し過給をはじめる際に、わずかなもたつきを見せるだけだ。
痛快なのは、これまでのAMGのギアボックスよりシャープになったシフトチェンジ。変速することでレブリミットから数100rpmまで回転が跳ね上がる場合でさえも、シフトダウンを許容するようになった。その変速は最新の911ほどクイックではないが、日産GT-Rには肩を並べる。
ドライサーキット
メルセデス-AMG GT R:1分8秒3
フェラーリ488GTB:1分8秒0
数ラップすると、ブレーキペダルのタッチはふわつきはじめるが、強烈な制動力はそのままだ。
ウエットサーキット
メルセデス-AMG GT R:1分15秒6
フェラーリ488GTB:-
ESPは、標準モードでは多少のスリップを許容するが、スポーツモードではかなり増し、オフにすれば思いのままとなる。
たしかに極めて能力は高く、一体感も高まっているのだが、たとえばポルシェ911GT3がそうであるほどには熱中できないのである。
とはいえ、スロットルでの調整は利く。アンダーステアは大きくなく、それでいてオーバーステアも意のままに操れる。ただし、標準装備の鋳鉄ブレーキは、音を上げるのが早すぎる。
総じて楽しい時間が過ごせて、パフォーマンスの高さも実感できる。そして、ストップウォッチに目をやると、フェラーリ488GTB並みのラップタイムが出せることもわかる。実に素晴らしいの一言に尽きる。
発進加速
テストトラック条件:乾燥路面/気温12℃
0-402m発進加速:11.5秒(到達速度:207.0km/h)
0-1000m発進加速:20.6秒(到達速度:264.3km/h)
フェラーリ488 GTB(参考結果)
テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:10.9秒(到達速度:220.3km/h)
0-1000m発進加速:19.4秒(到達速度:277.5km/h)
制動距離
97-0km/h制動時間:2.30秒