空冷と水冷、あなたはどっち? ポルシェ993と996を比較試乗(前編)

公開 : 2017.08.14 17:10  更新 : 2017.08.14 17:18

993が「最後の911」になる可能性もあった

ただ、その時すでにポルシェはかつての名車と同じ方法ではもはやスポーツカーを作れなくなっていたのは誰もが認める事実ではないか。

冷静になって考えれば、1990年代初めのポルシェを襲った不景気で、993が最後の911になったとしても不思議ではないレベルだったことは明らかなのだから。

ここでひとつ、面白い話がある。ポルシェは水冷のV型8気筒ユニットを993に搭載することを検討していた、という話をご存知だっただろうか。

しかし、コスト面の理由から3.6ℓ水平対向6気筒をポルシェは引き続き使うことにした。

ただ、ピストンとコンロッドが964よりも軽くなり、クランクシャフトの剛性も高かったため、旧型のエンジンよりもスムーズに回り、最終的に285psを発生することができた。G50ギアボックスは5速から6速になり、リアサスペンションもマルチリンク構成のものに完全に設計し直された。

つまり964から993にそのまま引き継がれた部分はごくわずかだったのだ。基本的な構成要素とシルエットはそのままだったからこそ、伝統的なポルシェファンを十分に満足させられたのである。

ただ、ポルシェが破産を回避して財務的健全性を取り戻すためには、もっと多くの人を満足させなければならなかった。

996には、どのような仕掛けがあったのだろう?

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