「生ける伝説」 BMW 3.0CSL vs M3 CSL 当時の時代背景を学ぶ(前編)
公開 : 2017.08.16 18:40
「気づけば鳥肌が立っている」
3000rpm以下だと、シングルカムのM30エンジンは聴き心地のいいヴォーカルのように心地よいエグゾーストサウンドを響かせる。回転数を高めるとピッチや強烈さ、気質が変化する。タコメーターの針が急回転すると、心の浮き立つような轟音に切り替わり、気づけば鳥肌が立っている。
4200rpmで29.1kg-mのピークトルクに達し、5600rpmで209psの最大出力を発生する。6400rpmまで回転を高めても、息切れすることはない。
バットモービルは、エンジンが強大すぎるとは絶対に感じさせない。
アンチロールバーを使用せず、より高級なスプリングとガスダンパーを利用し、25%ののロッキングLSDを装備したシャシーは、ややロールし、そのプロセスでステアリングが若干重くなるが、郊外のA級路を法定速度で走る限りでは、滑らかに走り、最小限の慣性で手際よくコーナリングしてくれる。
直進安定性は揺るぎなく、全幅の信頼を寄せることができる。ステアリングのやや鈍いような軽さが直進時のマナーをやや損ねているが、それもコーナーに入れば消える。
リアが予想した通りに穏やかに動いてくれるため、オーバーステアを思いのままに抑えられる。オルガン式アクセルペダルを軽くつつくだけで、M30のミドルレンジの強烈なパワーをうまく逃して、195/70R14タイヤを簡単に使いこなせる。
バットモービルから降り、M3 CSLに向かった。
(後編につづく)