「生ける伝説」 BMW 3.0CSL vs M3 CSL 当時の時代背景を学ぶ(後編)
公開 : 2017.08.17 17:10
【後編】BMW 3.0CSLとM3 CSL。後編では、どちらがいいか決着をつけます。刺激的な2台の勝者は?
■もくじ
前編
ーライトウエイトファンタジー
ーBMW、過去の過ち ライバルとの戦い
ーいよいよエンジンを始動してみよう
ー乗り心地 運転のしやすさは?
ー気づけば鳥肌が立っている
後編
ーM3 CSL 乗りこんでみると……
ーM3 CSL 気になるところだらけ
ー強化は、なんのためなのか?
ーシャシーのカリスマ的魅力
ー3.0CSLとM3 CSL どっち?
M3 CSL 乗りこんでみると……
今のMディビジョンのクルマはV8モデルと、ターボチャージャーによる加給が施される6気筒モデルを搭載しているが、このクルマはBMWの究極の自然吸気6気筒S54 B32HPを搭載している。レースのために開発された関連モデルのバットモービルとはまったく別なのだ。
E9 CSLの外観が、鎧を纏ったジャンヌダルク、すなわち、激戦のための装いをした両性具有的な筋肉質の美女だとすれば、エリック・ゴプレンとクリス・バングルがデザインしたE46クーペにハンス=ブルーノ・スタークの官能的曲線をあしらったこのクルマは、水着を着たハイディ・クルムのようだ。
E9のインテリアが軽量構造をビニールトリムで覆い隠して大人しげにみせているのに対して、E46のインテリアはレーシングカーらしさを前面に打ち出している。
E46のそうした企みは明白であり、そのモータースポーツ志向の装備は、21世紀になって実現したBMWのF1進出を予感させる。
特に、アルカンターラでトリムされた太めのステアリングホイール、シフトパドル、露出したボルトヘッド、パッドの薄いハイバックのフロントバケットシート、カーボンファイバー製のセンターコンソールやドアカードなどが目を引く。
ドライビングポジションは優秀だが、オートクラッチSMG IIボックスから突き出た、ずんぐりしたギアスティックの、周囲に似合わないきらめきを別にすれば、コクピットはやや陰気で、暗く寛げない。
短時間、のんびりムードでクルマを走らせてみたが、M3 CSLはどうも落ち着かないクルマだと感じる。