「生ける伝説」 BMW 3.0CSL vs M3 CSL 当時の時代背景を学ぶ(後編)
公開 : 2017.08.17 17:10
M3 CSL 気になるところだらけ
オートマティックで低速走行すると、侮蔑や退屈さを感じ、妙に乗り心地が硬いため、フライバイワイヤ方式のアクセルに対する苦手意識が高まるばかりだ。
愚かな進化の歩みを止めて、考え直すべきだと私は思う。当然、私は電子システムを利用したからくりをできるだけオフにした。
トラクションコントロールはどうするか? そんなものは必要ない。ギアチェンジモードは? マニュアルだ。ギアチェンジのスピードは? SMG IIはわずか0.08秒でギアチェンジできる。これは活かして遊んでみよう。スポーツボタン? もちろん使わない手はない。
酔わせるようなエグゾーストサウンドが響き渡り、どんどん加速していく。実力をフルに試すには、公道ではなくサーキットが必要だということも次第に明らかになっていく。
高速の法定制限速度の時速113km/hでは、どこか冷たい最近の典型的高性能車としか思わないだろう。秘めた能力を徹底的に実感しようとするなら、免許を失うことを覚悟しなければならない。
そう指摘すると、贅肉を絞り落として100kg以上軽量化し、重心を下げたスペックのために、なぜ標準仕様のM3より£18,720(346万円)も高いこのクルマを買わなければならないのかと疑問に思うかもしれない。
このクルマだけの仕様としては、カーボンファイバーのルーフ、プロフィールを改良した樹脂製トランクリッド、グラスファイバー製のバックバンパーとリアバルクヘッド、ガラスの薄形化、ミシュランのパイロットカップスポーツタイヤを履いた軽量アルミホイールなどがある。
カーボンファイバーのフロントバンパーアッセンブリーや前述のトランクリッド、リアディフューザーは、空力特性の改善に貢献。
さらに性能を強化したブレーキ、スプリング、ダンパー、ステアリングジオメトリー、ボールジョイントで結合したアルミ製トラックコントロールアームがダイナミック特性を改善している。
これらの改善や強化はなんのためなのだろうか。