「シンR1 550」 ブルガリア発スーパーカー、不完全ゆえのスリルとは 試乗記
公開 : 2017.08.17 12:46 更新 : 2017.08.17 16:06
「シンR1 550」 インプレッション
このクルマのアピールポイントは第1に排他的な見た目であるから、西ヨーロッパにおける火付け役、太陽的な存在意義があるのはたしかだ。
キャビン内はやわらかなレザーに包まれ、特注のシートは完璧に近いローアングルをもたらす。一方のスイッチ類の押し心地は、もっと煮詰めるべきだと思う。安っぽい。
数秒のクラッキングののち、心臓は目を覚ます。
V8の鼓動をサウンドトラックにするということは、それだけでクルマから何かを訴えかけられているような気分にもなる。
クラッチペダルは少々重い踏み心地。ただアクセルペダルはとても軽いので、心臓に鞭をいれてレブまで持っていくのは他愛もないことである。
ステアリングは電気の力でアシストされていてとても軽い(重みを増すステアリングモードもある)。ギアチェンジだが、古来のマニュアルを選択すると、熟慮が必要だ。各ギアに入れる際、引っかかりがある。
ダスカロフは「R1はサーキットに焦点を絞ったクルマながら、ソフトなセットアップのほうがいい」と言う。
コーナーにおいてR1はミシュラン製パイロット・スポーツ・カップ2というタイヤのぜいたくなグリップと、それからくるトルク感から、アンダーステアが無い、バランスの良さを示しているように感じた。
事実ニュートラルバランスのR1は、クルマの限界がわかりやすく、結果的にドライバーがもっとコーナーで速く! という強迫観念に駆られてしまうというほどである。