回顧録(5) ポルシェ911ターボ(930) 当時の評価、いまの感触は?

公開 : 2017.08.18 16:40

当時の自動車雑誌の評価は?

一方プラス面で見ると、こうした改良のおかげで、この時代で最も加速性能の高いクルマになった。

3ℓのターボ車について、Motor誌は「これほど印象的なクルマは、ほとんど試乗したことがない」と締めくくる一方で、3.3ℓのタイプに関しては「レーシングカーの性能にセダンの快適さを提供する、というポルシェの宣伝文句を全くもって裏切っていない」といった、ポジティブな意見を、当時書き記した。

加速、最高速、ハンドリング、そしてブレーキのいずれをとっても秀逸であり、このモデルは1989年まで生産が継続された。

膨大なトルクを扱うため、マニュアルトランスミッションにようやく5速が追加されたのは、最後の年になる1989年のこと。しかし、その頃には自動車誌の評価も辛めになり「最悪の重量配分」を批判する記事も登場した。

マイケル・イータフ氏の走行11万kmの個体の年式は1981年。「160km/hで走っていても」と、イータフ氏は切りだす。「ターボが効くことはありません。ブーストはゼロで、滑るように穏やかに走るだけです。そこでアクセルを踏み込むと、途端に急加速し始めるのです。もう、これには驚くしかありません」

「ただし、かなりの速度でも騒音に悩むことはないですよ。4速トランスミッションのギアはどれも高速寄りのセッティングですが、トルクは膨大ですからね」

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