ロールス・ロイス・レイス「ブラック・バッジ」 ルーマニアの旅(後編)
公開 : 2017.08.20 19:10
【後編】クロプリー英国編集長が、4日間、2880kmにおよぶルーマニアへの旅。後半は、一筋縄ではいかったようです。ゆったりとお楽しみください。
ロールス・ロイス・レイス「ブラック・バッジ」 ルーマニアの旅(後編)
もくじ
前編
ー断る理由など見つからぬ「甘い誘い」
ーブラック・バッジ そもそも何か?
ー目的地はルーマニア 4日間2880km
ー6.6ℓV型12気筒 驚くほどの静粛性
ー不思議なほどにピッチングを抑える
後編
ーブタペストを脱出 いよいよ「あそこ」へ
ー直線 綺麗な路面 多彩なカーブ
ー「立入禁止」区間に入ることにした
ーもし、レイスに落石したならば
ー警備員ふたたび 彼らが求めしもの
ブタペストを脱出 いよいよ「あそこ」へ
次の日のプランは、渋滞に巻き込まれる前にブタペストを脱出することである。
しかし、ハンガリーの首都に住むひとびとの朝は早く、渋滞に巻き込まれて15分後、われわれは漂いながらハンガリーを横断することになり、昨日達成した距離よりも稼がなくてはならないことを認識した。ルーマニアでは必須の小型トラックを次々と追い越していった。
トランスファガラシャンの北に位置するシビウに、この日が終わるまでには着きたかった。計画通りではあった。直線に渋滞は皆無。しかし、ルーマニアの国境に差し掛かる頃には、景色は一変し、オーストラリアのアウトバックにも似た、特色のない平野が続くことになった。
そして、綺麗なコンクリートと鈍く光るガードレールでできた、巨大で装備万端の国境施設が、地面から湧き出たように立ちはだかる。
こんなクルマに乗っているのだから、ちょっとしたいざこざの覚悟はできていた。そして、それが現実のものとなる。われわれは、このクルマの書類の写ししか持っていなかったのだが、それをみた国境警備員は首を振って不快な表情を浮かべた。
最終的はこれらが本物であることは認めてくれたが、われわれは再び、デス・バレーのような景色のない田舎へ入ることになる。
それにしても、この道はどこまで行っても素晴らしい。