ロールス・ロイス・レイス「ブラック・バッジ」 ルーマニアの旅(後編)
公開 : 2017.08.20 19:10
直線 綺麗な路面 多彩なカーブ
160kmの旅ならば、シンプルだ。直線に、綺麗な路面、多彩なカーブ、そしてこれらは全てEUによって整備され、144km/hの巡航ならば特に問題になることはないだろう。
そして、マージナと呼ばれる小さな街に到達し、全てが悪い方向へと向かい始める。
田舎道はだんだんとそれらしさをみせ始め、川に丘にそして、峡谷が出現し、険しくなった。いつのまにか、EUの待遇はなくなり、ルーマニアの典型的な道に戻った。
トラックは40km/hで走っている。右に左に揺らして走るそれらは、豪快なコーナーリングを披露するが、それは同時に正面衝突のリスクもはらむ。
90分間、64kmに渡ってこの試練に耐え、突然、デヴァに到達すると、そこはEU以外のなんでもなく、スピードは倍になり、セベシュへたどり着く。そして、シビウ、トランスファガラシャン通路への出発点である。
われわれは計画よりも少し早く到着した。そこで、南に向けて走り出すことにした。緩やかな登り坂は、険しい木々のヘアピンで急こう配になる。