ロードテスト(4) アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ ★★★★★★★★★☆
公開 : 2017.08.20 11:50 更新 : 2017.08.20 11:55
デザインと技術 ★★★★★★★★★☆
ジュリアは比較的軽量で、先進技術を採用したパワフルなセダンだ。複数素材を用いた構造やサスペンションのテクノロジー、パワートレインの洗練性は、Dセグメントにおける優位性だけでなく、今後何年にもわたるドイツ勢に対する競争力をもたらすだろう。
シャシーの主な素材はスチールだが、アルミや複合素材を部分的に使用し、重量を削減している。ジュリア全車に共通するのは、アルミのサスペンションアームとサブフレーム、フェンダーとドア、鋳造アルミのサスペンション・タワー、カーボンファイバーのドライブシャフトだ。
クアドリフォリオには、さらにカーボンのボンネットとルーフが採用される。また、フロントのスポイラーもカーボンで、さらに可動式としたアクティブ・エアロパーツとなる。
アルファでは、クアドリフォリオの車輛重量を1580kgと発表しており、それが事実なら彼らの目指すクラス最高レベルのパワーウエイトレシオを実現できる。
しかし、それはあくまでもクラス最軽量であれば、という但し書きがつく。われわれが実測したところ、試乗車は1700kgあった。
これは2015年に計測したメルセデス-AMG C63よりは125kg軽いが、2014年のBMW M4のDCT搭載車よりは90kg重い。
オフィシャルな数値で計算した、トン当たりのパワーは323psとなるが、これはウエイトだけでなく、V6ツインターボの貢献も当然ながらある。
最高出力は510ps/6500rpm、最大トルクは61.2kg-m/2500〜5000rpm。アルファのエンジニアによれば、このオールアルミユニットはフェラーリの3.9ℓV8ツインターボに「インスパイアされた」ものだという。
事実、そのモデナとトリノのエンジンは、ややオーバースクエア気味のボア×ストロークの数値や90°のバンク角、圧縮比、IHI製ターボの採用など、共通点はあまりにも多く、それはこのふたつに極めて近い関係性があることを示唆している。
そのパワーの伝達には、ひと組のクラッチを用いたリアのトルクベクタリング・ディファレンシャルが介在し、左右いずれかに100%の駆動力を配分することも可能だ。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで、アダプティブダンパーを装備。ブレーキはバイワイヤ制御で、これは軽量化にも寄与する。
シャシーの電子制御を司るセントラル・コンピューターはマニエッティ・マレリ製の新型で、さまざまな補助機能を調和させる役割を負う。これは、ドイツ車が支配的なスーパーセダンのヒエラルキーを覆しそうなクルマだ。
英国に導入されるのは8段AT仕様で、試乗車はこれにオプションの19インチホイールとカーボンセラミックブレーキディスクを装備した車輛だ。