ロードテスト(4) アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ ★★★★★★★★★☆
公開 : 2017.08.20 11:50 更新 : 2017.08.20 11:55
動力性能 ★★★★★★★★★☆
インテリアの欠点を取るに足らないものとできる理由、それはこのクアドリフォリオを走らせればわかる。
これまでも、息を呑むようなエンジンを積むアルファは存在したが、それらのハンドリングはそこそこに留まりがちだった。だが、今回はそうではない。
エンジンは、むろん悪くはない。モデナとの関連性色濃いユニットに、不満を抱くことなどあるとは思えない。このV6のアイドリングは断固たるもので、非の打ちどころはなく、その印象は荒々しいものだ。
それはC63より、M3寄りの傾向だ。走り出してみて同様で、特にDNAシステムを最もハードなDモードに入れていれば、エキゾーストの音量は高まり、スロットルレスポンスはシャープになり、シフトチェンジにも影響が表れる。
パートスロットルでは、時として素直でない挙動を見せる。ある時は思った以上に、またある時は期待以下に、そのパワーデリバリーが変化するのだが、その幅は極めて小さく、集中していると多少気になるという程度だ。
シフトパドルでよりアグレッシブな変速をすれば、その走りはジェントルなクルージング以上のものを見せるが、8段ATの自動変速とのマッチングも上々だ。
手動変速では、飛ぶようにという形容がふさわしい走りを見せる。コンディションが完璧で、しかもニュータイヤを履いていれば、0-97km/h加速は4秒以下だが、満タン2名乗車で往復計測した場合の平均値は4.5秒だった。
3000rpm以上ではターボラグは取るに足らない程度で、さらに回し続ければ、このV6は7300rpmに到達する。サウンドはAMGのV8よりスムーズだが、M3より魅力的。
トランスミッションの作動は、トルコンの代わりにクラッチを用いるAMGのATや、M3のDCTより、はるかに滑らかである。ジュリアのそれは、タイトなトルコンを介して楽に走れる。このクルマには、おそらくこの選択が適している。
ブレーキは、使い古したPゼロ・コルサを履き、ウェットコースを走っていてさえもよく利く。
ただし、ペダルフィールは改善の余地があるように思える。踏み込んだ際にはフィールも利きもいいのだが、停止後にクリープで進まないよう、ペダル踏力を調整する必要がある。
ドライサーキット
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ:1分12秒7
メルセデス-AMG C63 セダン(2015):1分15秒1
オプションのカーボンセラミックブレーキは、5ラップ以上飛ばしてもみごとなまでに耐フェード性を発揮する。
ウエットサーキット
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ:1分16秒9
メルセデス-AMG C63 セダン(2015):1分20秒0
ESPは、最もハードなモードでは過敏だが、完全に切らなければグイグイ進む。
このジュリアは、ドライではかなり魅力的なクルマだ。ブレーキを残してターンインし、ノーズの方向をキープすることもできるが、むやみにオーバースピードで飛び込まなければ、アンダーステアに影響されず俊敏に駆け抜ける。
いったんコーナリングに入れば、常にうれしくなるほどバランスがいい。時折、リアデフ左右のクラッチが直結し、大きいがアジャストしやすいスライドが発生するが、そのスライド量は把握できる。
そうでないときは一般的なLSDのように手際よく作動するが、多くの場合、より洗練されている。精密で、C63のように暴力的ではない。
ウェットでは、また違うことになる。このアルファは、主にタイヤが原因で、普通に走ればオンザレールだが、加速していくとハイドロプレーン気味になる。
そこそこにはグリップするが、イージーに走れるのはドライほどの走り方をしなければの話だ。なお、今回のコースは再舗装されてグリップが改善されているが、C63のタイムは古い舗装で出したものだ。
発進加速
テストトラック条件:乾燥路面/気温10℃
0-402m発進加速:12.6秒(到達速度:191.5km/h)
0-1000m発進加速:22.6秒(到達速度:246.4km/h)
メルセデス-AMG C63 セダン(2015)
テストトラック条件:乾燥路面/気温15℃
0-402m発進加速:12.7秒(到達速度:187.0km/h)
0-1000m発進加速:22.7秒(到達速度:240.6km/h)
制動距離
テストトラック条件:乾燥路面/気温10℃
97-0km/h制動時間:2.57秒
97-0km/h制動距離:7.7m
メルセデス-AMG C63 セダン(2015)
テストトラック条件:乾燥路面/気温15℃
97-0km/h制動距離:8.5m