回顧録(6) BMW 2002ターボに試乗 「マルニ」は今でも刺激的
公開 : 2017.08.20 17:40
当時のAUTOCARの評価
当時、AUTOCARは「ハンドリングに関して敢えて付け加えるべき点があるとすれば、それはピーキーな出力特性の及ぼす悪影響だ。これでは、長いカーブの出口に向かって加速していると、トルクもみるみるうちに増えていき、ますますライン取りが難しくなってしまう。ついには最悪の状況に陥る……という結果にさえなりかねない」と記述した。
言い換えるならば、ハイパワーゆえの欠点を伴っていたといっていいのではないだろうか。
しかしながら、スチュワート・ローソン氏がイタリアで購入した個体は、AUTOCARが試乗したクルマにふたつのオプション装備を追加したものである。
ここで、FPS製「ボトルトップ」合金ボディがBMWのハンドリング特性に及ぼす効果について長々と講釈するのも一興だが、とにかくそのユニークな5段マニュアルトランスミッションがハンドリングを思いがけずに上手くまとめている。
ギアを多段クロスレシオ化し、出力の段差を緩和したことが、このターボ車のアクセルを全開にした際の荒々しい挙動をなだめるのに役立っていることは間違いない。
ただし、シフトレバーのドッグレッグパターンの操作とゴツゴツした手応えには右手を慣らす必要がある。
「2速までシフトアップすれば変速は簡単ですよ」と親切なローソン氏。
「運転しづらいクルマだとわたしは思いません。このクルマに関する初期の試乗レポートを読むと、悪夢のようなことが書かれていますが、実際はそんなことはありませんよ。確かに、濡れた路面だと、手強いかもしれませんけれど……」。
氏は、空をチラっと見上げ、青空を確認して少し安心したような表情を浮かべていた。
室内を見てみよう。