2018年型ポルシェ・カイエン バルセロナでプロトタイプ3グレード試乗
公開 : 2017.08.29 11:40 更新 : 2017.08.29 11:49
カイエンSプロトタイプの印象は?
搭載される2.9ℓV6ターボの高出力版は、ポルシェが採用する中では最新のエンジン。試乗車にはオプションのエアスプリングと「PASM」アクティブダンパーが装備されていた。
パワーユニットは、大型SUV用としては及第点といったところで、それ以上のものではない印象。この手のクルマが全てそうであるように、ディーゼルに打ち勝つことが何より必要だという視点で仕立てられたエンジンであるように感じられる。
それを実現するのはなかなか骨の折れることだろうが、このクルマには明らかな利点もある。アルミ部材を多用した構造部により、新型カイエンSの車輛重量は、出力が同程度の旧カイエンGTSより60kgほど軽量なのだ。
0-100km/hのタイムは5秒以下で、2トン級のSUVとしてはかなり速い。だが、そのサイズや重量を考えれば、もっと驚くべきはチャレンジングな道を走破する能力だ。
ポルシェは意図的にアウディやベントレーとは異なる手段をとり、センターデフをトルセン式ではなく独自のクラッチ式とした。
その方が作動が早く、結果としてニュートラルなハンドリングを生むというが、それは試乗でも確認できた。
実際、クイックなカーブにこの手のクルマとしてはまっとうではないスピードで飛び込んでも、なんとかして曲がってしまうのだ。
もちろんマカンほど俊敏ではないが、それは当然のこと。なにより喜ばしい発見だったのは、電動パワーステアリングが、少なくとも旧型の油圧式程度にはリニアで、正確さは増していたこと。
逆に残念だったのは、楽しさよりスムーズさの方が際立っていたことだ。もっとも、これはケイマンGT4のようなクルマではないし、それを踏まえて過度の期待をするべきではないのだが、どんなにスポーティさと縁遠くてもポルシェはポルシェだった。
高望みはしないよう、自分に言い聞かせて乗り換えた素のカイエンは、ドライバーに一層の努力を強いるものの、走り出すやいなや、しっくりくる感触が得られたのだった。