ホットハッチ一本勝負 ルノー・クリオRS200カップ vs フォード・フィエスタST
公開 : 2017.09.03 16:10 更新 : 2021.03.05 21:35
クリオ200カップは戦いのクルマだ
腰を下ろしてみる。シートポジションは高く、ステアリングホイールのテレスコピック機能も備わらないので、まるで長身のトラックドライバーのように、身体を起こして、しかも背中を丸めて座らなければならない。
低速域での乗り心地は非常に硬く、路面の細かな凹凸を逐一拾って飛び跳ねるので、エンジンの回転数を上げるたびに前輪がホイールスピンするのではないかと疑問に思うほど。
しかし実際には、アシがしっかり動くことで、ホイールは巧みに上下動をしながら路面を捉え、追従していく。ボディは元気すぎる子どもが飛び跳ねるように上下に揺さぶられるが、シャシーの仕事は確実だ。
クリオの持つ、スーパーカーに食らいついていけるスピードは、ここから生まれる。
フロントタイヤは強力なコーナリンググリップを生みだし、4角のタイヤ全てから濃密なフィードバックがあるため、グリップの限界ギリギリまで簡単に引きだせるのだ。それゆえどこでもフラットアウトが可能。
一般道だと本来持つ性能のごく一部しか引きだせないスーパーカーよりも、ずっと満足感が高い。
クリオのような手応えがある高回転型エンジンが、いつか味わえなくなる日が来るのが寂しい。
5000rpmから7500rpmのレッドゾーンまで回してやれば、何かを打ちのめすかのように飛んでいく。
マニュアルギアボックスは、テキパキと納まりがよく、ギアチェンジをしてアクセルを吹かす毎に楽しませてくれる。
ルノー・クリオ・カップはホットハッチの中で常に最高の1台だと思う。事実、ここまでしっかりと向き合え、飛ばせるホットハッチといえば、近年はほかにもう1台しか思い浮かばない。