日産リーフ新型 プロトタイプ試乗記 「運転がグッと楽しい」と評価
公開 : 2017.09.07 18:15
「運転がグッと楽しいものになっている」
日産のエンジニアたちが強調するのは、試乗した先行生産車が、英国での市販車と全く同一の仕様ではないということ。今回の仕様はクッションの利いた乗り心地としたアジア向けスペックで、これとは別に、英クランフィールドのテクニカルセンターでチューニングが施された仕様が欧州向けには用意される。
とはいえ、このアジア向けプロトタイプでさえ、厚木のテストコースに設けられたワインディング・セクションを驚くほどフラットに駆け抜ける。
床下に置かれたバッテリーによる低重心が影響しているのは疑うべくもないが、同時にこれは、ピッチやロールを削減したシャシー・コントロール技術のたまものでもある。
また、車体の後部セクションは、先代比15%の剛性アップを実施した。しかし、それ以上に新型リーフを特徴づけるのはレスポンスが大幅に改善されたドライブトレインである。
先代ではふわふわだったスロットルレスポンスはシャープになり、モーターに加わったパンチは、EV特有の途切れのない加速をさらに強め、ドライバーの背中をシートへ押し付けるほど。
最も印象的だったのは走行中の加速で、高速道路での追い越しを先代よりはるかに楽なものにしてくれるに違いない。要するに、この2代目リーフは運転がグッと楽しいものになっている。
軽すぎるステアリングはフィールが欠如しており、それがドライビングへの熱中度を削ぐのだが、それでもそのパフォーマンスは、ユーザーがこのクルマを選ぶ動機とするに足るものとなっている。
まさかリーフを、このような価値観で語る日が来るとは思いもしなかった。
この新型は、先代モデルの進化版という枠を大幅に超えた、全く異なる提案だといえる。この7年で、EVの将来に半信半疑だった世界は、それを必然的なものと捉えるようになってきている。世の中の変化に伴いリーフも、かつて日産が使ったキャッチコピーの通り「変わらなきゃ」いけなかったのだ。
今回の試乗が示したのは、変化が著しく大きかったこと、そして現時点ではそれがクラス最高峰を目指すうえで有利に働くだろうということだ。
しかし、今後はフォルクスワーゲンのIDをはじめとする、全く新しいライバルたちが続々と名乗りを上げてくる。頂点へのチャレンジは、初代が新たな市場を開拓したのとは違った苦労を覚悟しなければならないが、困難な道のりとなるだろうことに変わりはない。