ロードテスト(6) レンジローバー・ヴェラール ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2017.09.09 12:20 更新 : 2021.04.13 18:04
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
試乗車はHSEグレードだが、これは多くの購入者にとって、モーターショーの展示車輛に近いものを欲した場合に追加装備を検討すべき必要性が最も少ない仕様といえる。
ホイールは、数年前なら途方もなく大きく見えたであろう21インチだが、コンセプトカーを思わせるヴェラールのルックスにはぴったりだ。
自動車メーカーは、アイデンティティやデザイン言語について語りたがるが、ヴェラールはレンジローバーがラインナップをさらにどれほどダイナミックにするのかという点で、究極の、そして最も成功した表現だといえる。
現時点では、もはや頂点を極めたようにさえ思える。今後登場するレンジローバーの各モデルは、あらたなガイドラインの導入が必要になってくるだろう。
ボディの下を検分すると、これはレンジローバーのラインナップをまったくもってロジカルに拡張したものだとわかる。イヴォークよりはごついが、スポーツや真正レンジほどではない。
簡単に紹介すると、大部分がアルミニウムのモノコックはジャガーF-PACEと基本を共有し、エンジンはフロントに縦置き。ZF製8段ATを介して、もちろん四輪を駆動する。
このドライブトレインもジャガーと共通で、後輪駆動をベースに、ギアボックスに必要な時のみ前輪へパワーを配分するクラッチが据えつけられている。
「レンジローバー」を名乗るだけあって、そこにはライトなオフローダーに必要な水準を大きく上回るものがある。
ローレンジは備わらないが、地上高やアプローチとデパーチャーのアングル、渡河深度はかなりのもので、とりわけオプションのエアサスペンション装着車はそれが際立つ。どれもレンジローバーの上位モデルには敵わないが、同じクラスであればこれに勝るものはない。
逆に、上位モデルにはないのが、ジャガー・ランドローバー(JLR)自慢の「インジニウム」直4ディーゼル。
240ps/51.0kg-mというスペックは、2.0ℓとしては大したものだ。しかし、2089kgという車輛重量には十分ではないことは、すぐにわかるだろう。