韓国のSUV、レクストンで北朝鮮との国境DMZへ わかったふたつのこと

公開 : 2017.09.18 17:10  更新 : 2021.03.05 21:35

数百メートル先の「触れられない」世界

一方で、ミュージアムには朝鮮戦争時の銃器や弾薬、国境の縮尺模型などが展示されている。

しかし、最も興味深い展示物は、北朝鮮を写した巨大な写真だ。数百メートル先には現地があるのに、そこは実際に触れられない世界である。

そこに写るのは、韓国の放送電波をジャミングし、北の国民に隣国の生活ぶりを知らせないための巨大な柱。金正恩に搾取される国民たちの惨状を外部に見せないよう、実際よりも見栄えよく取り繕われた偽りの村。

そして、自らを相手より大きく見せようという、馬鹿げた対抗心が生んだ巨大な国旗。聞くところ、その重さは275kgもあるらしい。

そこには愚行の数々がおもしろおかしく展示されていたが、都羅山駅を訪れると、またも不安な気持ちに苛まれる。

この形骸化したモダンな駅舎は2002年、いつの日にか南北統一が成し遂げられた暁には、列車や旅行者で満ちることを夢想して建設された。

そこに乗客の姿はなく、いるのは駅を見るためにやってきた観光客の群れのみ。使われず錆の浮くままになっているレールの向こうには、「禁じられた国」を眺めることができる。

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