現役引退間近 技術よりも「情」なパフォーマンスモデル一気乗り(後編)
公開 : 2017.09.10 20:10 更新 : 2021.03.05 21:35
フィエスタST200を忘れてはならない
一方で今回のテスト車両の中では一番安価なフォード・フィエスタST200は、恐らく最も不満の少ないクルマだろう。
乗り心地はどの速度域においても非常に固く、シートポジションは高すぎる。インフォテイメンントシステムの操作も、かなりの距離をともにしたが、いまいち良くわからない。
しかし、これらはすべて走りで相殺される。
そのドライビングは非常に特徴的なもの。ペダルやシフトノブ、ステアリングの正確性から、レカロシートの素晴らしいサポートまで、操作の手応えと挙動が完全に一致するのだ。
ステアリング操作に間髪を入れずフロントタイヤが反応し、違和感のないロール角でコーナーを抜けていく。価格が10倍ほどするようなスポーツカーと比べても、その仕上がりは群を抜いている。
若手のエンジニアたちはフィエスタST200に1週間ほど乗って、クルマのドライビングや挙動に関して学ぶ機会があっても良いと思うほど。
リリースされて未だ4年ほどのフィエスタST200だが、ドライビングの楽しさを味わってしまうと寂しさも一際だ。ここまで改善の余地がないほど完璧だと、新型モデルの開発はかなり難しいものになりそうだが、どのような進化を遂げるのかわたしにもわからない。
フィエスタST200と同様にルノー・スポール・メガーヌは、優れた動力性能に関して、比較的手頃な価格やシンプルなシャシー構成でも十分に提供可能だということを証明している。
メガーヌ275カップSも有終の美を飾るモデルとなる。